日本産業機械工業会の欧州環境情報2019年4月号、「欧州議会は、廃棄物処理および焼却施設に関するEU補助金を排除」のレポートを読んで、EU諸国と日本との環境政策・廃棄物処理の違いをまざまざと思い知らされる~
EUの環境政策・廃棄物処理は、廃棄物の発生防止、再利用、リサイクルの促進で、埋め立て処分を段階的に廃止していくという目的があり、それに向けての数値目標を明確にしている。そしてインセンティブとして、効果的な経済手法と拡大生産者責任(EPR)を導入・強化するなどの必要性まで盛り込んでいる。もちろん、我が国でもいろんな指標や数値目標は掲げてはいるが、、なんだかな~の「第四次循環型社会形成推進基本計画」「第四次循環型社会形成推進基本計画(概要)」、
今回の欧州委員会の決定は、「廃棄物処理や焼却施設への財政的支援を2020年以降の結束基金から排除することで、廃棄物の発生防止、再利用、リサイクルを促進し、EU加盟国が2035年の循環経済目標を達成することに貢献する。」となっているようだ。
EUの場合は、廃棄物を可能な限り再利用、リサイクルするということが大前提で、廃棄物焼却による温室効果ガスをも削減しようという努力の現れか、、
日本の場合は、
なにしろ、一般廃棄物(平成29年度)のごみ直接焼却率は80.3%、OECD加盟国のなかでもリサイクル率は最下位であれ、ごみ焼却率はダントツの1位なので、、、ごみ焼却施設の数は1,103と減少傾向ではあるが処理能力は変わらずで、、焼却施設建設への交付金は、循環型社会形成推進交付金(廃棄物処理施設分)2019 年度予算は329億6千万円である!!(【交付率 】交付対象経費の1/3。ただし、一部先進的な施設については1/2)。
「日本産業機械工業会」というのは、素人的に言えば、いわば、焼却炉のプラントメーカーなどの工業会なんだろうから、こういうEUの施策をどのように受け止めているのかはわからないが、、、
日本の環境政策、往々にして大企業を優先した施策が多いようにみうけられる。エコノミックアニマルであれ、それは経済の活性化全般に向けてというよりも、、廃棄物処理という静脈産業でも結局は大企業がいつの時代も前面にでてくるので、なんとなく不可解である。循環型社会の廃棄物処理とはいえ、発生抑制では経済の停滞となり、再利用やリサイクルよりも、大々的に焼却施設の建設でプラントメーカーやゼネコンが活性化してして欲しいのだろうと勘ぐってしまう、、、、、、
EUの環境政策、、お復習い、
前進あるのみなのか、、、
欧州委員会 - プレスリリース 発表日:2018.05.22
欧州委員会、循環型経済への新廃棄物法パッケージが成立と発表
1)リサイクル率の目標値を、
一般廃棄物では2025年までに55%、2030年で60%、2035年で65%と設定。
包装廃棄物はプラスチック、木材、鉄、アルミ、ガラスなど種類別に目標値を設け、
プラスチックは2025年までに50%、2030年までに55%としている。
リサイクル率の算定方法も厳格化し進捗を正確に測れるようにした。
2)埋め立て処分を段階的に廃止し、2035年までに一般廃棄物/の発生量全体に占める比率を10%以下に減らす。
3)効果的な経済手法と拡大生産者責任(EPR)を導入・強化する。
包装材については義務的EPRを2024年までに設ける。
4)廃棄物の発生そのものを抑制し、食品ロスや海洋ごみの抑制にも目標を設ける、等。
過去20年間、EU加盟国はリサイクル率を上げ埋め立て処分を減らしてきた。しかし2016年でも10か国が家庭ごみの50%以上を埋め立て処分するなど、課題と加盟国間の差は残っているという。
元データ:欧州委員会 プレスリリース
European Commission - Press releaseCircular Economy: New rules will make EU the global front-runner in waste management and recycling
EU諸国、廃棄物の埋立回避から焼却処理が増えるのではないかと、、、
欧州委員会のプレスリリースなどチェックして「EU加盟各国の一般廃棄物の処理状況 埋立・焼却・リサイクルの割合」で各国の廃棄物処理のデータをグラフにしているのだが、、、2014年版でストップしている。
しかし、これまた、日本産業機械工業会の世界版というか、欧州の廃棄物発電の業界団体である欧州廃棄物発電施設連盟「CEWEP」 (Confederation of European Waste-to-Energy Plants) のサイトでは、実にわかりやすい「都市ごみ処理」の比率のグラフができているのだ、、、おまけに「廃棄物エネルギープラントマップ」まである、、きれいでわかりやすいグラフはすばらしい!!
CEWEPのグラフの出典は「EUROSTAT」となっているので、「EUROSTAT」のサイトをいろいろ検索はしてみたが、なにしろ自動翻訳機能で探すので、やっと「都市ごみのリサイクル率 」や「一人当たりの都市ごみの発生」等はみつけたのだが、各国別のリサイクル・焼却・埋立の比率の一覧表は見つからず、、、当面、2015年以降は諦めた、、、是非、CEWEPのMunicipal waste treatment in2015、Municipal waste treatment in2016、Municipal waste treatment in2017をみてほしい、、,ただし、2017年はまだ不明データもあり、2016年も100%にならない国あり、、、
CEWEPで2015年、2016年、2017年をみると、、、焼却比率が大きく増加している国は、イギリス、フィンランド、スロベニア、ポーランド、ハンガリー、リトアニア、アイルランド、、焼却比率が50%を超える国は、スエーデン、デンマーク、フィンランド、ノルウェー
関連(本ブログ)
■環境省 『日本の廃棄物処理 平成29年度版』 ごみ総排出量は4,289万トン、1人1日当たりのごみ排出量は920グラム(焼却施設1,103施設、直接焼却率80.3%) 2019年04月08日
2013年と古いデータだが、、
「OECD加盟34ヵ国、一般廃棄物の処理とリサイクル率(2013年)」

グラフは「Environment at a Glance 2015 OECD INDICATORS」から作成
出典は
EU各国、廃棄物の発生防止、再利用、リサイクル促進、埋立回避、
今後の推移を注目しよう~
関連(本ブログ)
■EU加盟各国の一般廃棄物の処理状況 (2014年) 埋立・焼却・リサイクルの割合 2017年10月21日
埋立割合の昇順で、、
焼却割合の昇順で、、、
上記の各国別一覧表、2015年以降を探している~
●EU一般廃棄物処理割合推移、
国別の2010年~2014年をみてみると~
EU28
ベルギー
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デンマーク
ドイツ
エストニア
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ギリシャ
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イタリア
キプロス
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ルクセンブルク
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イギリス
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
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スイス
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