大工事を必要とする光ファイバなどに較べてあまりにもお手軽なコンセントに差し込むだけでインターネットができる技術はすでに完成している。
電話線に接続するADSLよりも遙かにお手軽で効率の良いシステムである。ネットユーザとしては早く実現してもらいたいだろう。
ところが世の中そううまくはいかない。まずネットユーザの立場では、ADSLで頑張っている連中は「早く実現してくれ」と思うだろうし、業者の口車に乗って「光ファイバ」にしているユーザはせっかく高い投資をしたのに、後発で安上がりの技術ができれば、「俺の払った金は何だったんだ?」ということになりおもしろくない。無線Lanなどやっていればなおのこと悔しさは募るだろう。
NTT・YAHOOなどの既存大手業者が莫大な資金を投入して「光ファイバ」をやっているので、今更そんな技術が出現されたら「困る」のも事実だ。
で、闇に葬る口実に考えたのが天体観測と短波放送である。「この二つに甚大な被害を与えるからだめだ」というのである。真偽のほどは不明だが、私の素人考えでも、電波観測は街中ではやっていないだろうから、天文台の周囲の高圧電線に「通信遮断装置」を設置すればさほど問題はなかろうと思われる。電灯線ネットの電波が強力で、「街中の電灯線から漏れる電波が影響を与えてしまう」というのならば仕方がないが、「じゃあ、携帯電話はどうなんだよ?」という素朴な疑問も沸く。
短波放送ユーザは全国で900万人いるらしいが、家で聞いている人がどれだけいるかは不明だ。場外馬券売り場や電車の中でオヤジがイヤホンを当てている姿を連想してしまうが、記事を読むと不都合が生じるのは室内でネットと短波を併用したときだけのようである。家で短波を聴きたいなら、その人はネット配信に電灯線を選ばなければ良いだけの話である。
やはりNTT・YAHOOなどの既存大手業者による妨害工作と考えるべきだろう。
これら業者は政府に圧力をかけて、かつての蛍光灯技術よろしく「お蔵入り」かとも思われたが、この技術を開発したのは家電メーカーや電力会社である。ネットを利用する企業も設備投資は安上がりな方がよい。
推進する勢力も大物揃いである。この勝負見応えがある。日本を代表する業界同士ががっぷり四つに組んでの大勝負である。投資額が巨大なので企業の存亡にも関わっている。
政府もうかつに闇に葬れない状態なのだ。
我々庶民は傍観するにすぎないが、この行方は注目するに値する。ADSLから光フィバーへの移行は、急用でもない限り待ったほうが賢明だろう。実は推進派の方が優勢だからだ。外国ではすでに実用化が進んでいる。アホな政策でこれ以上日本のネット技術が後れると、日本は名実ともに二流国家に成り果ててしまう。
NTTも敗戦を想定して電灯線ネットの研究も進めているらしい。早いところの在庫処分とばかり、「光ファイバにしませんか?」と電話でのネーちゃんの勧誘もしつこい。
足下が見えているので値下げすれば良さそうだが、しないところが図々しい。
電力会社は「電灯線は地下に埋める必要がある」などと称して電力料金の値上げを申請してくるかも知れない。
コンセントをネット端子に 電力線通信、解禁は不透明
(記事)
電気のコンセントをネット端子に変えてしまい、電源コードがインターネットの配線を兼ねる――。そんな高速電力線通信(PLC)という技術を解禁するかどうかが、13日にある総務省の電波監理審議会(電監審)で最終判断される。国の検討は6年に及ぶが、発生する雑音電波(ノイズ)で短波放送に混信が起き、電波による天体観測が妨害されるなどの反対意見が噴出。土壇場になって行く末が不透明になっている。
(参照)
電線で高速ネット通信
実現近づく?「電気コンセントから高速ネット接続」
(画像元)