ロイター通信によると「米国最大の惨事」と題したこのツアーは、1月4日から実施される。
カトリーナで決壊したミシシッピ川の堤防や、壊滅的な被害を受けた石油産業、水産業などの歴史をたどりながら、バスで市内を巡る行程だ。がれきの山となった住宅地や、被災者たちが悲惨な状況で助けを待ったスタジアム「スーパードーム」などを見学する。
所要時間は約3時間。1人35ドルの料金のうち、約1割は救援団体に寄付される。 グレゴリー・ホフマン支店長は、ロイター通信とのインタビューで「カトリーナのつめ跡を全米の人々に見てほしい。直接見なければ分からないと思う」と語った。同支店ではホフマン氏自身をはじめ、多くの従業員が洪水で家を失った。復旧事業の遅れをめぐる当局への不満が、この企画の原動力になっているという。
なおカトリーナ(Katrina)は2005年8月末にアメリカ合衆国のフロリダ、ルイジアナ、ミシシッピ、アラバマの各州などを襲った超大型ハリケーンのことで、避難者は100万人以上となり、死者・行方不明者の数は数千人を超えると見られる。被害は特にルイジアナ州ニューオーリンズ市が深刻である。8月30日に市北部の堤防が決壊し、大量の湖水によって洪水した。
ニューオーリンズ市民の多くは今も遠方で避難生活を送る。一方で、帰還した市民らは必死に自宅の復旧作業を続けている。被災をテーマにした商業ツアーには「不謹慎だ」との批判もあるが、ホフマン氏は「被災地を勝手にのぞく訪問者はすでにたくさんいる」と反論する。
カトリーナ・ツアーでは、参加者がバスを降りて記念写真を撮るような行動は認めない方針。「バスで15分も見て回れば『もう十分』という気持ちになるはずだ」と、ホフマン氏は話している。