非食料でバイオ燃料 国内初の実証へ 三菱重工
≪稲わらや麦わらを原料とするバイオエタノールの実用化を目指して、三菱重工業などが神戸造船所二見工場で、国内初の実証事業に乗り出す。農林水産省のモデル事業に選定され、来夏にも稼働する予定。実用化のめどが立てばプラント生産に乗り出す。バイオエタノール10%混合ガソリンの普及を図る環境省は「2030年まで」という目標の前倒しを検討中で、高騰するガソリンに取って代わる「新燃料の切り札」としても期待が高まる。≫
2030年とはずいぶんと暢気な計画だった。もともとは天下り法人事業だったのだろう。
≪同社によると、施設は二見工場内の約1000平方メートルに建設する。洗浄したわらを粉砕。熱水に浸し、酵素を加える二段階の工程で糖に分解する。さらに酵母で発酵させてエタノールを精製する。牛が草を消化する仕組みを応用したという。≫
技術的には平凡な内容である。効率化とランニングコスト圧縮が課題なのだろう。
≪わらは、東播地域を中心に4ヘクタールで約20トンを集め、年間800リットルのエタノール製造を見込む。わらの確保や貯蔵をひょうご環境創造協会、発酵を白鶴酒造、精製を関西化学機械製作が協力。精製までのコストを一リットルあたり90円程度に抑えるという。≫
販売価格が90円なら夢のようだが、それに利益と税金が加わるとやはり売り出し価格は180円くらいにはなりそうだ。
しかし、日本は他のエネルギー開発計画がほとんどないので、現段階では一番有力な方法かも知れない。
≪これまでバイオ燃料の原料には、糖にしやすいトウモロコシやサトウキビが使われてきた。しかし、世界的な食糧高騰の一因とされ、途上国からは批判が続出。洞爺湖サミットでは「食糧以外の原料によるバイオ燃料の開発」が首脳声明に盛り込まれた。≫
さすがにトウモロコシバイオがいかに酷いかがようやく解ってきたようである。本当にこれを計画した奴らは馬鹿者揃いだ。
突然こんな話が降った湧いた背景には裏がありそうだ。
政府が途上国の批判をかわすために外交上のにわかカード作りを始めたものと思われる。
つまり、あまり本気ではないのだ。国策企業の三菱が動いていることでもそれが知れる。
≪農水省によると、国内で発生するわらは年間1400万トン。飼料などに活用されてはいるが、7割は決まった使い道がないとみられる。近畿経済産業局の試算では、県内の稲わらや麦わらからエタノール約3000キロリットルを生産できるという。≫
「捕らぬ狸の皮算用」ならぬ「穫らぬわらのバイオ算用」である。わらに商品価値が発生すれば売り惜しむ連中も出てきそうだ。
≪日本では、エタノール混合ガソリンの利用は、東京や大阪など一部の地域で始まったばかり。三菱重工神戸造船所の藤田謹也先端部品・機械システム部次長は「実用化の技術を確立し、エタノールが普及する将来に向けて、生産が拡大できる体制を整えたい」と話している。≫
実際に、新エネルギー開発には莫大な資金が必要だし、それが成功する保証もない。バイオ燃料にしたところで、販売価格がリッター180円以下でないと採算ベースに合わないだろう。外国産のバイオ燃料の方が安ければ、開発するより輸入した方が得だ。バイオ燃料も海藻など他の候補が研究されている。あれもこれも手を出していたら効率が悪い。
メタンハイドレートも本格的に採掘すれば確実にバイオ燃料より割安になるだろう。原子力発電は現時点では一番確実で安定している。ただし、核融合炉に手を出したら開発費は青天井になってしまう。
原油投機に振り回されて、どの国も決定的方策が打ち出せないというのが悲しい現実のようだ。
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