手賀沼日記

貿易ワンポイント講座 その14 アメリカにおける社長の解雇

前回その13で、買収に関する諸手続も終了し、会社も順調に回りだした頃、思いもかけぬ問題が発生し、早急に対応を迫られることになりました。

副社長5名全員が社長と対立し、「この社長とは仕事が出来ぬ、やめたい」と言ってきました。詳しい事情はわからないが、仕事を知っているのは副社長連中で、社長はいわば途中入社であり仕事はまだあまり知りません。簡単に決着がつくようには見えないので、会社買収の責任者である私が会長として出向し、業務全般を監督すると同時に、この人事問題の解決を図ることになりました。ビザも申請後4日で取れました。

着任次第関係者全員と個別に話し合い、全員がやめないで残る方向で検討しましたが、社長の最高責任者としての統率力にも多少の問題があったようだし、諸般の情勢より判断し、社長を解雇することにしました。ある日社長を呼び、契約に従いwithout cause 解雇する旨伝えました。気の毒ではありましたが、やむを得ないことでした。当時は知りませんでしたが、このような状況で使う言葉に、"I may be wrong, but you must go." というのがあるそうです。このあとがいかにもアメリカらしいのですが、私や社長がしゃべったわけではないのに、総務部長が飛んできて、早速社長室の鍵を取り替えるので、鍵屋を呼びたいと言って来ました。

その後当分の間、社長はおかず、私が全般監督をし、実務は各副社長の業務分担を確認して経営に当たることになりました。社長解雇の問題は大変残念なことではありましたが、その後私自身にとってアメリカビジネスを外からでなく、内側から体験する大変貴重な経験となりました。この件は将来の話題としてとっておきましょう。

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