カレー屋(EXA)

エキプロ5で遊ぶブログでした。もはやその名残りはほぼない。

チョコレート一片の幸福

2021-01-01 18:50:00 | スポーツその他
カレーです。

明けました。
よろしくお願い申し上げ候。



おそらくは多くの人にとって2020年という年は、
得たものよりも失ったもののほうが大きかった年だったのではないか、
と想像…
というかそんなこと、想像するまでもないくらい。

2020年という年はとにかく、
辛く、痛く、
…重い時間でした。

ともすれば、完全に“止まった”ようにすら思われた世界の中で。

それでも、プロレスの時間はヒッソリと、
確実に動き続けていました。

リングのない、市ヶ谷駅前、
少し前まではその限られたスペースの中で
溢れんばかりの人で賑わっていた、
診療所の一階。

インターネット上に存在する“団体”、
チョコレートプロレスの中で。



チョコレートプロレス(以下チョコプロ)は、
プロレスリング我闘雲舞代表であるさくらえみ選手が
2020年3月に旗揚げした“新団体”。

この感染症禍の中、様々な団体が“興行自粛”の波に飲まれる中で、
我闘雲舞も2020年3月中〜下旬まで興行を開催していたものの、
感染拡大の状況を受け、それまでに予定していた市ヶ谷大会及び
先々に予定していたリングの大会や、3年ぶりとなる大阪大会など
全ての予定を一気に白紙とすることを発表。

存続が何より危ぶまれる状況の中…
どの団体にも先駆けて放った一矢が、
“新団体旗揚げ”でした。



今から思えばこの決断はおそらく、
前年AEWが開催した“Double or Nothing”…
いわゆる“イチかバチか”よりも大きな大きな賭け。

言うなれば、“All or Nothing”。

この形式が受け入れられなければ、
我闘雲舞という団体が存続できない、という程に、
大きな大きな賭けだったのではないかな、
と想像します。

そもそも我闘雲舞が主に行う大会は、
市ヶ谷チョコレート広場…
と呼べば会場のようにも聞こえる、
現実的には、診療所の1階のワンフロア。

8m四方ぐらいの部屋に6mリングの半分ほどの広さのマットを敷き、
空いたスペースに詰め込めるだけ人を詰め込み、
入れない人は窓の外、シャッターの隙間、
入口付近入れ代わり立ち代わりなど、
ありとあらゆる手段で限られたスペースに人間を詰め込む、
“密”の空間。

窓は開けっ放しなので換気はいいのですが…
この限られたスペースに最大80名が押し寄せる従来通りの興行は、
“三密”回避が叫ばれるこの感染症禍の中では開催は難しく…
実質的に、活動不可能な状況に追い込まれていたといっても
過言ではないところ。

もしかしたら単なる思いつきだったかもしれないし、
瞬間的な大いなる心算のもと弾き出された狙いだったかもしれない。

いずれであったにせよ、この一つの決断は…
12/31大晦日まで、実に76回の大会を開催するに至りました。

今日まで活動が継続されているというその結果から、
“All”の目を引き出すことに成功したと見て、
間違いないものと思われます。



ここではもはやチョコプロそのものやその活動の継続性についてを
分析したり、解説したりする気はサラサラなくて。

ただただ個人的に申し上げたいのは、
とにかく、今年チョコプロという団体があったことで、
私個人はたいへん救われた、ということ。

これはおそらく、日本のみならず海外からの視聴者を含め、
3月〜6月の特に苦しい時間を過ごした視聴者にとってみれば、
もしかしたら当たり前のように多くの人が抱いている感想かもしれません。

日々の暮らしが止まること。
その事自体は私にとってはどちらかといえばまあ、
どうでもいいといえばどうでもいい。
これまでそのただでさえ重たい日々の暮らしの“濃度”を書き換えるように、
日々、プロレスを見続けてきたわけです。
というか私にとってはどちらかといえば、こっちが重要。
とても、重要。

しかし、自分の中で重きをおいている世界こそが
継続の危機を迎えたことで、もう、ただただ本当に、
日々の生活の維持に不安を覚えるところとなりました。

緊急事態宣言発令前最後に会場でプロレスをみた
南風原町で、“今後本当にどうなるかわからない”
“しばらくは客前で行うプロレスは開催されないのではないか”
という漠然とした先々の明るくない見通しを…
何故か藤田ミノル選手の売店で共有したような記憶があります。

漠然とした不安が世の中を覆う中…
それでも好きな世界、プロレスの世界は、
インターネットを通じて、日々継続し続けてくれました。

そしてそのプロレスの世界を維持し続けたいわば“先導”が、
チョコプロであったことは間違いないものと思われます。


全試合終了後、チョコプロでは必ず恒例として
ジャンケントーナメントが行われます。

このトーナメントの勝者は実質的にその大会の勝者的に崇められ、
賞品として、チョコレートが一粒贈呈され、
幸せそうに(一部例外あり)頬張るイニシエーションが行われます。

さくらさんは、チョコプロから届けるプロレスを
“チョコレート一片分の幸せ”になれば、
と言葉にしていることがあったように記憶してます。

私はお酒の飲めない甘党ですので、
この形容はなんとなく感覚的にしっくりくる部分がございまして。

見た目の上では小さな一粒に過ぎないチョコレート。

でもその甘みと香りは、
…まあ、甘党的な感覚ではありますが、“脳に届く”。

(※甘味はβエンドルフィンを分泌させるので、
脳内麻薬的な作用があったりなかったり。)

例え小さな一粒のチョコレートであろうとも、
頬張るその時間は、幸福で満たすことができる。

それは、我闘雲舞で映像配信を始めたときの目標であり、
チョコプロを始めたころにもさくらさんが口にした方向性、
“小さいまま、大きくなる”という理念に繋がる考え方でも
あるように思います。



現実には安定した視聴者数を獲得し、
一定のスポンサー層が維持されていますが、
一方では9月頃の感染拡大の一旦落ち着いたあたりから、
再び動き出した“世界”の各コンテンツの影響もあり、
その広がりは少々伸び悩む時期に入りつつあるところであるようにも思います。

ただ、市ヶ谷チョコレート広場での興行再開が難しいことや、
世界がまたいつ止まるかわからないという状況下での継続性を考えると、
やっぱり、世界に常に開かれ続けている、という
チョコプロの強み、可能性は、2021年もまだ、
新たな広がりを見せることと想像します。

そのプロレスが、益々世界を幸福で満たしますように。

ご祈念申し上げますとともに、あけましておめでとうございます。







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