カレーです。
さて、昨年3月、パンデミック禍の世界に産声を上げた、
チョコレートひと欠片分の幸福を世界に届ける“チョコレートプロレス”、
通称チョコプロは、無事迎えた1周年経て始まった“シーズン7”も、
6月13日にファイナルを迎えます。
…なんかもう隙あらばチョコプロの話ばかりしてますが、
面白いのだからしようがない。
さてそのファイナル…の、
一つ前。
6月12日のカードが、
スーパーアジア選手権試合と相成りました。
カードは、ChocoProLIVE#100でバリヤン・アッキとの決定戦を制し、
第2代スーパーアジア王者となった藤田ミノルと、
初代王者・里歩が王座返上前に最後に防衛を果たした際の挑戦者・駿河メイ。
二人のシングルマッチは昨年5.17のチョコプロ以来、
およそ1年ぶり。
この1年を長いとみるか短いと見るかは人によって異なるかとは思いますが、
ただ、この1年で王者、挑戦者ともに重ねた経験の数を思えば、
おそらくは全く異なると言っていいほどに、
シチュエーションは異なるように思います。
藤田ミノル選手のチョコプロ初参戦は、昨年5月5日。
大日本プロレス横浜文化体育館大会メインイベントでの
デスマッチヘビー級王座挑戦が決まっていながら、
この感染症禍で大会は延期。
どころか、ありとあらゆるライブイベントが中止となり、
世界がほぼほぼ完全に止まりかけていた中で…
唐突かつ衝撃的に組まれた、“ゴールデンウィークのメインイベント”。
水森由菜選手とのラスト・マン・スタンディングによる一戦は、
チョコプロという団体の在り方を一気に方向づけるとともに、
対戦相手の水森由菜選手、
…そして、藤田ミノル選手自身にとって。
とてもとても意味のある試合となったように思います。
ここからチョコプロについて振り返るととてつもなく大脱線をすることになるのですが…
ここから藤田ミノル&水森由菜のド腐れヤッホーズが結成され、
勝ち負けはともかくとして、
とかく水森さんがグチャグチャドロドロの感情を大いにさらけ出すようになり。
元々素晴らしかったその才能が、凄まじい勢いで…なんだろう。
端的な言葉を使えば、成長していくこととなりました。
このとき語っていた水森さんの一つのコンプレックスは
“他団体にあまり呼ばれない”ことでしたが、
そこから一年を経たこの5月、
みちのく、チェリー興行、BBJ、ガンプロ、Color'sと、
他団体のリングでまーあ水森さんをよくお見かけすること。
具体的にかたちになって、その成長は明らかになりつつあるように思います。
さて。
この試合を一つ契機にしてというか、
大きく印象を変えた選手が、もう一人いました。
それが、今回の挑戦者・駿河メイ選手です。
そしてそのきっかけは、藤田ミノル選手との試合…ではなく。
水森由菜選手から向けられた、“コンプレックス”が、
一つのきっかけだったように、思います。
なんとなく。
いま振り返ったときに。
水森由菜選手と駿河メイ選手との一騎討ちの前に行われたチョコトーク。
様々な感情に揺れていた水森由菜選手の一方で、
駿河メイ選手のインタビューからは…
概ね、一つの色、一つの感情(または2つくらい)しか、
個人的には読み取ることができませんでした。
“喜怒哀楽”でいえば、“喜”とか、“楽”。
この数え方だと2つですかね。
…そして、そのことが実のところ大変印象に残っていました。
しかしその水森由菜選手との試合後、
というか、試合以降、でしょうか。
逆に自身が抱いていた“結果”という一種のコンプレックスを
全面に顕にするようになり、
“引分は負けと同じ”
“お前ら全員負けだ!”
などと、ともすれば、怒りを以て全員にあたり散らしてみたり。
…いや、
もう、
ほんと恐ろしいですね、林檎様。
ちょっと思い出したのは、紺乃美鶴選手が卒業される際、
さくらさんとか美鶴さんが別々に、それぞれ言葉にしていたところで、
“戦う感情”を伝える(あるいは引き出す)難しさ。
でも駿河メイ選手は、その難しさすらも乗り越え、取り込み、
“駿河メイ”というプロレスラーの姿を、みるみる大きくしていきました。
チョコプロ始まってしばらくして、
我闘雲舞の選手たちが他団体に出て戦う機会を
目にする機会も増えていきましたが、
久しぶりに目の当たりにした駿河メイ選手について言えば、
一番強い印象があるのは、“視線”です。
相変わらずのニコニコポニーテールっぷりな一方で、
この相手に“絶対に負けない”とでも言いたげな、
視線の強さがとにかく恐ろしい。
というか目の当たりにしていない半年ほどの間で
(個人的に全く気にしてなかったり気づかなかっただけかもしれないけれど)
そんな変化がみてとれるようになってるのが、恐ろしい。
バリヤン・アッキ選手とのタッグ“BestBros”で
アジアドリームタッグを戴冠し、
念願である初のベルトを獲得した駿河メイ選手。
もう、そこから先は言うまでもなく。
ベルトと、ベルトによって起こるアレやコレやによって
さらに経験に経験を重ね、それらがそのまま養分となるかのように。
“Big Apple”の成長ぶりはとどまることがなく、
結果、スーパーアジア王者・藤田ミノル選手から直接のピンフォールをとるに至りました。
駿河メイ選手は、本日時点でこのスーパーアジア王者の“最後の挑戦者”になります。
新しいコスチュームにたたえた青は、このベルトの色々。
藤田ミノルvsバリヤン・アッキのシングルマッチが
スーパーアジア王座戦として行われることにも
公然と不満を示し続け、同時に、ベルトへのこだわりも示してきました。
この一年で“エース”となるに足る実力も自信も、
自覚も覚悟もおそらくは持っていて、
そして必要な“実績”も手にした。
足りないものは、何もない、と思えるほどに。
しかし。
様々な感情渦巻くであろう中で放った藤田ミノル選手の言葉は…
強烈でした。
“BestBros”の二人はまだ年若いながら“天才肌”で才能があり、
そしてその才能を磨くための努力もしている。
そのことを認めた上で。
「二人には“つまづき”が足りない」
そう、言い放つのでした。
もちろん、駿河メイ選手、バリヤン・アッキ選手ともに、
葛藤やコンプレックスを持ちながら、これまでにいくつもの苦難を
それぞれ乗り越えてきたことでしょう。
もしかしたら、その言葉を的外れに感じていたかもしれない。
ただ。
藤田ミノル選手が、2020年のインディー大賞MVPを受賞するまでに。
王子の地下でドロドロと放った、ありったけの毒
贈られた“一生プロレスしてろ”という言葉と、
それに報いるための時間
“人生を投影する戦い”を望みながら、
それを果たすことができず
あるいは、自身を“何者でもない”とまで言い放ち、
感謝と、怨嗟を放った後楽園ホール
その戦いは全て、“つまづき”などでは決してない。
でも、それでも、決して思い通りにできてきたわけではない。
…もしかするとまだ、やっぱりどこかで。
自身についてすらも、未だに何かが“足りない”と思いながら、
戦っているようにすらも思います。
だからこそ、“足りない”ということを知っている…というか、
常に何かを渇望している藤田ミノルという選手が提示する“つまづき”という言葉には…
たとえ具体的な意図や、含意がなかったとしても。
宿る何かがある気がしていて。
提示される“つまづき”という、
いわば“授業”めいたものを、果たして。
様々なものことを超ハイスピードで養分とする、
“Big Apple”がどのように受け止めるのか。
チョコプロ#125、ワンマッチ。
うっかりシーズン7ファイナルだと勘違いしていましたが、
実は次にもう一回あることにさっき気付かされたので、
サムネイル画像は無理矢理の訂正となりました。
ごめんなさい。
第2代スーパーアジア王者・藤田ミノルの初防衛戦。
挑戦者・駿河メイ。
6.12[土]10:00〜