
カレーです。

[PochaJo2.5]

[存在感]
近年、そこそこプロレス観に行ってます。
その中でなんといいますか、
一番“ボリューム”…
世の中全体の“プロレス”に注がれたエネルギーの総量…
みたいなものを感じ、
一番面白い興行が立て続けに行われ、
一番プロレスを観に行った、
観に行かざるを得ないくらい、
魅力的なプロレスが溢れかえってたのが、2019年という年でした。
異論は認める。
ただ、単純に、ネット・プロレス大賞2019の“最優秀興行”は
ものすごく悩んだ記憶が未だに鮮明に刻まれてる、
どころか、文字情報に思いっきり残してます。
マッスルマニア、
モーニング闘争2019に端を発する“闘争”シリーズ、
酒呑童子興行に高梨将弘主催興行、
チェリー自主興行に、
我闘雲舞では里歩卒業大会からの
ガトム果汁100%、
YMZ後楽園大会etcetc
今思い出そうとしても概ね何があったか思い出せるほど
衝撃的な興行がめくるめく行われた怒涛の1年間。
その中で…とりわけ鮮烈な“2興行”が行われたのも、
この2019年でした。
そこからもう3年経つという事実が脅威ではありますが、
それはまた一旦置いておくとして。
私の記憶に鮮烈に刻まれた衝撃の2大会を行ったあの団体が…
“ぽっちゃり女子プロレス”が、帰ってきます。
ぽっちゃり女子プロレスは、2019年4月に旗揚げ(?)した、
プロレス団体というかプロレス興行シリーズというか、
そんな感じの組織体。
ガンバレ☆プロレスの今成夢人選手が唐突にその構想を世に示し、
これまた唐突に“エース”に指名されたのが、
当時東京女子プロレスを主戦場としていた、まなせゆうな選手。
“ぽっちゃり好き”を公言しており、
当時は“公私混道”の道をひた走っていた今成夢人が、
あまりの多忙とかストレスとかでまたおかしなことを始めた、
きっとこれは面白いことになる、という、
当初は面白おかしいものとか、どちらかと言えば、
奇異の視線が投げかけられていた…
というか、
私自身は、投げかけていた、
と記憶しています。
結果、ガラッと異なる印象で塗り替えられることとなるわけですが。
訳がわからないままに訳がわからない団体のエースに指名されたまなせゆうな選手には、
今成夢人選手からは、ともすれば尊厳を傷つけられるか、
少なからず尊厳に考えを巡らす必要のあるような言葉も投げかけられ、
何をやるのか、どのように向き合うのか…
誰にもわからないまま迎えた、
王子ベースメントモンスターでの旗揚げ興行。
まなせゆうなの“盟友”であり、
レスラーとしては今成夢人に見出された、
元東京女子プロレスののの子さんがリングアナを務めた大会のオープニングから始まり、
ビューティー鈴木とダパンプ松本による強烈なオープニングマッチ、
三苫うみさんのハーフタイムショー、
ぽっちゃり軍vsマッドスレンダー軍の全面対抗戦…
この日3大会開催されたガンプロの、
いかにもスピンオフらしい、とてもハチャメチャで
楽しい大会が進みました。
そして、その大会メインイベントは、
今成夢人vsまなせゆうな。
この試合を通じて…
“ぽっちゃり女子プロレスとは、何か”を、
理解しました。言葉というより、感覚で。
言葉にするとどこまで捉えられるか不安ですが、
少なからずこの試合を、大会を通じて贈られたのは、
まなせゆうなという、プロレスに、
もしかしたら人生に悩める1人の女性に…
あるいは、“自己肯定”に悩める全人類への…
1つのエール。
時勢の波で不遇の扱いを受けることとなった映像作品の劇中歌を、
手渡された歌詞カードを手に熱唱するまなせゆうな、
その在り方を全肯定する、出場者たちと、観客たち。
曰く。
“ありのままで”。
今ここにいる、ここにあるそれぞれの歩みを肯定すること。
“ぽっちゃり”という、
ルッキズムに支配された世界の中で、
ある種ネガティブな意味合いの言葉を肯定的に読み替える言葉。
実は…というか、結果的に…なのかは
もはや定かではありませんが、
この興行名、団体名は、実に強烈なメッセージを叩きつけるものとなりました。
#ぽちゃじょ [4.14 王子]終了。ありのままの自分で生きること。ありのままの自分を愛すること。ありのままの人間そのものが、美しいこと。
— カレーマン (@whatever_spicy) April 14, 2019
それしかない。それだけでいい。それがたった一つ、今成夢人が興行丸々一つ使って、一人の悩めるプロレスラーに贈る、メッセージ。 pic.twitter.com/UmA8TMWZjT
[2019.4.14:たまに自分のツイートが自分の役に立つ]
ぽっちゃり女子プロレスは、言うなれば、
触れた人間の人生を浮き彫りにし、
さらけ出させる舞台装置。
[2019年の2大会に感銘を受けすぎて、ネット・プロレス大賞2019の最優秀団体に推したりしました]
2回の興行と、
ビアガーデンっぽいプロレスでのスピンオフであるぽちゃじょ2.5、
そしてTRIGGER 1stを経て、
個人的にはそのように捉えています。

[PochaJo2.5]
まなせゆうな選手は第2回興行の最後で、
ぽっちゃり女子プロレスを指し、
「私の人生を変えたかもしれない大会」と評しました。
この言葉が出たのは、最初の大会から僅か4ヶ月後。
その間にまなせゆうな選手は、
東京女子プロレスを去る決意をし、
フリーのプロレスラーとなりました。
そしてまさにそのタイミングで、
DDT UNIVERSE(当時)の「ガンバレ☆会議」で
今成夢人と翔太の両選手から勧誘を受け、
ガンバレ☆プロレスに参戦。
東京女子プロレスを離れる際に語っていたまなせゆうなの言葉を受けて、
二人がかけた言葉は、
“ラストスパート”に、うってつけの場所。
そのような誘い文句だったように記憶しています。
こうした紆余曲折を経て、
ガンプロのリング上でまなせゆうなは「ガンプロの仲間になりたいの!!」と、
ガンバレ☆プロレスに電撃入団が決定。
新たな所属を得た、という点1つとっても、
彼女の人生、あるいは、人生の方向性は、
たしかに、大きく変わったかもしれません。
ただし。
2022年現在のまなせゆうな選手…
そして、今成夢人選手の状況だけ切り抜いても。
その変化は、この2019年当時の時点では、
まだまだここからだった、ということが伺いしれるように思います。
まなせゆうな選手はガンプロ所属となり、
初の後楽園では憧れの先輩である彩羽匠選手(Marvelous)と対戦。
(なんと、彩羽匠選手は“ぽっちゃり女子プロレス”を知っていた)
この時は敗れますが、
2年を経てMarvelousのリングでタッグで対戦し、
引き分けまで持ち込んで勝ち上がりを阻むという結果を得ました。
また、この2年間で“ベルト”に関わる機会が増加。
ガンプロではGWC6人タッグに挑戦し、
前述のMarvelousではタッグ王者を決めるリーグ戦に出場、
さらに5.4アイスリボン横浜武道館大会では、
“ぽちゃじょTRIGGER 1st”と題された試合でぶつかり絆を結んだ、
トトロさつきとのタッグで、リボンタッグ選手権試合に臨みます。
2021年はぽちゃじょとは別に、
“ガンバレ☆女子プロレス=ガンジョ”を任され、
HARUKAZE、春日萌花(ともにぽちゃじょではマッドスレンダー軍)とともに
通年で興行シリーズを開催。
さらに新たな女子の所属選手としてYuuRI選手が入団し、
“妹分”も加わって、ぽちゃじょ開催当時とは、
少なからずリングの上の様相はガラッと変化しています。
“ありのままでいい”ということの気付きがもしかしたら
影響したのかもしれませんが、
まなせさん自身のリングでの振る舞いも大きく変わった印象を受けます。
試合スタイルはラリアット、ショルダーブロックを基調とした
ゴリゴリのパワーファイトに。
また、これまでも割とリングの上で感情を盛大に顕にするタイプでしたが…
その“表し方”も、段々と激情というか劇場というか、
実に、“ガンプロらしい”感じになっていて、
他団体への出場の際も、際立った存在感を示しています。

[存在感]
“ぽっちゃり女子プロレス”プロデューサーである今成夢人選手を巡る状況も
この数年で著しく変化。
最もシンプルにその変化を評するならば、
手にしたベルトが実に雄弁です。
キャリア初の(勝って得た)ベルトである
GWC6人タッグ王座に、
プロレスリングZERO1では大谷晋二郎選手とのタッグで
インターナショナルライトタッグ王者を戴冠、
また、今成“ファンタスティック”夢人としてですが、
KO-D6人タッグのベルトも手にしました。
前述の“自己肯定”についてはおそらく、
プロデューサーである今成夢人選手自身にも向いていたと思います。
DDTで映像班として働きながら、
ガンプロでは1人興行に穴を開けることなく皆勤で参戦を続ける中、
“自分はプロレスラーである”という自我を、
トレーニングを重ね、身体を大きくさせることで得てきた…と想像します。
それでも、たぶん。
自分だけでなく、認めてくれる誰かの視線が、
必要だったのかもしれません。
どんなに面白いものを作っても、どんなに素晴らしい映像を作っても、
…どんなに熱い試合をしても、拭えぬ何か。
その何かを拭い去るような戦いが…
ガンプロを気にかけ続けた田中将斗選手であり、
ぽちゃじょ2での今成夢人からのメッセージに、
涙に顔を濡らしながらバイオニックエルボーを放った竹下幸之介選手であり、
#ぽちゃじょ [8.20 新木場]竹下幸之介、バイオニックエルボー。同じくアントーニオ本多を“師”と仰ぐ今成夢人へ、おそらく最も大事にしているであろう技を捧げる。 pic.twitter.com/KplNprps4s
— カレーマン (@whatever_spicy) August 22, 2019
[未だにこの試合を思い出すと泣いてしまう]
そして、天下一ジュニア2020の1回戦で今成夢人と激突し、
2カウントルールながら大金星を許し…
のちに、タッグパートナーとして隣に立つ、大谷晋二郎選手であり。
#pwzero1 [7.5 新木場] 天下一Jr開幕戦、大谷晋二郎vs #ガンプロ 今成夢人。
— カレーマン (@whatever_spicy) July 5, 2020
ボコボコにされ、足を痛めつけられ、それでも凌いで20分時間切れ、延長2カウントルールへ。体力尽きる中それでも諦めず、サムソンクラッチでまさかの2カウント。
勝ってた部分はない。ただ、負けない気持ちがそこにあった pic.twitter.com/fD5MvjTL5F
[待ってます]
こうした戦いを経た今、今成夢人選手の“拭えぬ何か”が、
今どうなっているか…
まあそもそも、そういうものがあったのかも含め、
わかりません。
それでも、3本のベルトの王者となり、
大谷晋二郎の代打で後楽園ホールメインイベントで
阿部史典と激闘を繰り広げ…
そして、今度は自団体の後楽園ホールメインイベントで
ベルトに挑む今に。
プロレスラー・今成夢人の戦いは、
確かに繋がっているもののように感じています。
ぽっちゃり女子プロレス3のカードは、
すでに発表となっています。
そして…
当日蓋を開けるまで何があるかはわかりませんが、
おそらくメインイベントはぽちゃじょ1と同じカード、
今成夢人vsまなせゆうな。
3年を経て迎える今、このカードの意味合いはおそらくは、
当初のそれと大きく異なるかもしれませんし…
一方で、
互いの人生を浮き彫りにし、さらけ出す、
という、ぽっちゃり女子プロレスがこれまで描いてきた世界は、
もしかしたら今回にも引き継がれてるかもきれません。
二人の人生は、ぽちゃじょを経て変わったのでしょうか。
変わったのかもしれないし、
単に二人が元々持っていた何かが、
ぽちゃじょを経て強固になってのかもしれない。
でも、確かに言えるのは。
あの日を契機に、二人の物語がより一層の盛り上がりを以て動き始めた、
ということ。
あの日から3年。
様々な物語を経て、再び2つの人生が交差する、
“ぽっちゃり女子プロレス3”
…
……
………ところで。
“ポチャミネーター2”の開催の予定は、
ありませんでしょうか…?
#ぽちゃじょ [8.20 新木場]『ポチャミネーター2』予告VTR、一コマ目があまりにも衝撃的すぎた。その脅威の名は、P-1000。これは、強敵だ… pic.twitter.com/VoWqPEOi0u
— カレーマン (@whatever_spicy) August 20, 2019
※実はこっそり楽しみにしている
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます