熊谷ラグビー場の第二試合のキックオフは15時だが、そんなことは関係なく酷暑が続く。東洋大は緒戦の大東大戦でトライ数同数ながらGKの失敗が響き敗戦、一方の法政大は、緒戦の日大戦で終了間際の逆転劇を演じて勝利している。緒戦からリーグ戦Gは大混戦を予感させる熱き戦いが続いている。
さて、ピッチに登場した選手達は、猛烈な暑さを感じさせない位に元気いっぱい。東洋大の211cmのLOジュアン・ウーストハイゼンは相変わらず超ハイタワーだが、1年生の時からは身体つきが変わっている。大学ラグビーは1年観ない間にメンバーが入れ替わり、知っている選手も成長が早いと感じる。
◆前半の戦い
東洋大のキックオフで試合開始。開始から僅か2分、東洋大があっさり先制する。ラインアウトから左オープンにワイドに展開し、返しの展開でFB坂本がパスダミーでウラに抜けてトライ。前節は不調だったSO天羽のGKも確実に成功し、東洋大関係者は一同胸をなで下ろした(はず)。[7-0]
東洋大は畳みかける。5分、HWL付近のラインアウトでHOが回り込み左に開いた最後尾のNo.8にパス。間髪入れず内側に走り込んだ右WTBモリース・マークスが真っ直ぐインゴールまで力強く駆け抜けた。法政DFの対応が甘くなっていたとはいえ、鮮やかなサインプレー。[14-0]
11分、法政はSO金が正面15mのPGを成功させようやく一矢報いる。ここから法政のエンジンが掛かり速いテンポのパス回しでペースを掴む。CTB13の炭竈は力強い突破(と髪型)で魅せるムードメーカー。2連続トライの東洋大も規律を感じさせるパス回しで対抗し、膠着した展開となる。[14-3]
26分、法政に待望のトライが生まれる。BK展開からショートキックはチャージに遭うものの、跳ね返りがスッポリWTB小林の胸元に入る。ラッキーもあったが入れ替わりのような形で小林がウラに抜け出し、フォローしたHO花澤がトライ。GK成功でビハインドは1トライで逆転可能な4点に縮まる。[14-10]
しかし、東洋大はすかさず反撃。31分、法政ゴール前のラインアウトからモールを形成して押し込みトライ。ここから東洋大がペースを掴む。法政も速いパス回しで東洋大のゴール前までボールを運ぶものの、反則などのミスが出て波に乗れない。[21-10]
前半終了間際の42分、東洋大は法政陣22m手前でのラインアウトを起点として、5分に見せたのと同じようなサインプレーからトライを奪う。今度はNo.8から外へボールを展開し、FB坂本がタックルを外して抜け出しトライ。これで東洋大は完全に波に乗ったと思われた。[26-10]
◆後半の戦い
後半も最初に得点したのは東洋大。2分、ラインアウトからモールを形成して押し込みトライ。第一試合の大東大もラインアウト/モールで着実に加点して日大に勝利を収めたことが思い出される。東洋大のリードは3T3Gでも追い付かない23点に拡がった。[33-10]
東洋大の勢いは止まらない。8分、法政陣22m内のラインアウト/モールを起点として前進。最後はCTB13の浅尾がトライ。点差はさらに28点に拡がり(GKは失敗)東洋大サイドには圧勝ムードも漂い始める。[38-10]
しかし、何が起こるかわからないのが大学ラグビーの怖い/面白いところ。15分、法政選手のハイパントをキャッチした東洋大選手がタックルを受けてボールを後ろに反らす。このボールを法政のFB桜庭が拾いラストパスをCTB炭竈に渡す。ムードメーカーのトライで法政に反抗の狼煙が上がった。[38-17]
東洋大はまったく慌てる必要がないのだが、イージーなノックオンなどのミスを犯し法政にペースを渡す。19分、法政は東洋大のオブストラクションで得た反則のチャンスを活かし、ラインアウト/モールから得点を奪う。ラックから出たボールが10→13→14と繋がる法政らしいトライ。[38-22]
法政の押せ押せムードの中で、東洋大は一息つく。23分、法政陣22m内のラインアウト/モールを起点とした連続攻撃でFL森山がトライ。だが、法政も諦めない。28分、こちらもラインアウト/モールを起点としてNo.8宮下がトライ。ビハインドを16点に縮め(法政の攻撃力を持ってすれば)残り時間はまだあるという状況となる。[45-29]
だが、ここで法政に痛恨のシンビン。36分、東洋大がすかさずラインアウト/モールから得点を挙げ、法政の逆転は難しい状況となる。[52-29]
それでも法政は諦めない。1人少ない状況の中での39分、15人に戻った47分にそれぞれトライを挙げて試合終了となる。ファイナルスコアは52-43。東洋大が圧勝する可能性、法政が勝利する可能性のどちらもあり得た、ある意味不思議なゲームでもあった。
◆試合後の雑感
東洋大はチームとしてはできあがっている印象。バランスの取れたチームだと思う。ただ、法政の個の強さを活かしたアタックに翻弄されている様子も見られた。厳しい条件ではあったことは間違いないが、失点が多く圧勝出来なかったことが反省点かも知れない。
法政はゴールラインを背負ってのラインアウトの局面(すなわち自陣での反則)が多かったことが惜しまれる。FW、BKともに走力のあるランナーが揃っていることとスクラムの強さが魅力。どのような形でチームが纏まっていくかに注目したい。