今回の「大垣市家庭系ごみ有料化計画(素案)」については、不適切な試算、内容の検討不足、そして、市民への説明不足、市民からのヒアリング不足があると思われます。そこで、同計画を考えるための資料をまとめてみました(全て私見です)。重要箇所は第2項目です。
1.総論的には、今回の「大垣市家庭系ごみ有料化計画(素案)」の大きな目的は、本来は「ごみ減量化」があるべきと考えますが、この資料全体を読む限り、「ごみ減量化」の手段を幅広く検討するよりも、論点が「ごみ処理の有料化=市の収入増」となっているように思えてなりません。
2.ごみ処理費用の市民負担の試算について、市(クリーンセンター)様は、年間約2億円(一世帯あたり年間約3千円)としていますが、この試算は計算条件が適切でなく、実際は何割か増しの負担金額(例:一世帯あたり年間5千円~7千円の可能性あり)になる可能性が高いように思われます。今回の試算は適していない(試算に欠陥がある)と考えます。(地元メディアは大垣市議会総務環境委員会での審議内容を報じましたが、その報道は、大垣市が実施した欠陥あると思われる試算(一世帯あたり年間約3千円)をそのまま掲載してしまいました。その報道内容は読者(市民)を裏切る可能性があるように思います。)
★一世帯あたりの年間負担額が約3,000円で済むという試算は、小規模世帯などでごみの排出量が少ない場合の他は、あり得ないように考えます。
大垣市の試算(素案33ページ、および、市政への意見箱のご回答(クリ第256号))(テキスト化は割愛します)
★当初、一世帯あたりの負担は年間約3,000円と報道され、市民全体の負担額は2億円とされましたが、今回、私が実施した試算とは違いがあります。仮に一世帯あたりの負担額を約4,000円と仮定しますと、市民全体の負担額は約2億円×4,000÷3,000≒2億6,667万円となり、市の想定より6,667万円、市民全体での負担は多くなる可能性が考えられます。(平均負担額=約5,000円の仮定では、市民全体の負担額は3億3,333万円と思われます。)
大垣市の見解(市政への意見箱のご回答(クリ第276号))(テキスト化は割愛します。)
★上記見解では有料化是非を議論する前に、まず表面的に表現が適切でない箇所があります。
「一世帯当たりの負担金額につきましては、年間の収集ごみ排出量から袋制にした場合の収入見込み額を試算し算出しております。」 この部分は、内容の可否を別にして、本来は例えば次のような表現であるべきです。 「一世帯当たりの負担金額につきましては、年間の収集ごみ排出量から、ごみ袋を有料化した場合の収入見込み額を試算し算出しております。」 家庭系ごみの収集は、既に「袋制(最大45リットル)」です。今回、広く議論されている箇所は「有料化するかどうか」です。こうした文面からも、大垣市クリーンセンター様におかれて、基本的に「家庭系ごみ収集は有料化」ありきの考えで、市民に対しては軽く(思慮浅く)計画が進められているように思えてなりません。
3.ごみの排出量(素案3ページ)のデータは直近5年分ですが、一人一日あたりの排出量の折れ線グラフは右側の縦軸を拡大していて、誇張されているように思います。平成29年度を基準に令和元年度のごみ増加率を算出しますと、家庭系ごみの一人一日あたりの増加は2ポイント程度ですが、平成27年度を基準にすると0.5ポイントの減少と算出できるように考えます。また、グラフの単位の記載が雑で、表は6列あるのに対し、単位の説明は丁寧な記述なく3つのみです。(数値の表で、このような単位の表記は普通行わないと思います。) 試算は全般的にまとめ方が雑で、素案は議論するには情報不足・配慮不足と思います。
4.家庭系ごみ(もえるごみ、もえないごみ)の有料化については、素案36ページなどで、どちらも有料ごみ袋方式を検討していますが、市民がもえるごみ/もえないごみの袋を間違えないように工夫されますか。市民がごみ出しの際、袋を間違えて使用した場合に、もえるごみ、または、もえないごみの収集は行っていただけますか。収集されませんか。また、もえないごみは少量の場合があります(例:手のひらに収まる程度の金属(針金等)や陶器など)。これらも、もえないごみ袋(45リットル相当)での収集になりますか。世帯のもえないごみの発生が少量の場合を考え、もえないごみ袋(中)(小)の導入予定はありますか。もえないごみの量に比べ、もえないごみ用の袋が多量になり、収集後の分別は面倒になるように思います。これら一式について、どのように検討されていますか。
5.近隣自治体を見ますと、例えば、池田町では或るお店で、池田町の可燃ごみ袋(大)と(中)が販売されていましたが、この袋の製造地は中国(Made in China)となっていました。製造者(メーカー)は分かりませんでした。大垣市が有料ごみ袋を導入する場合、大垣市が有料ごみ袋を製造するのでしょうか。それとも、入札発注するのでしょうか。製造地は落札業者の判断になるかもしれませんが、仮に外国で製造されて輸入となる場合、この新型コロナ感染拡大で国内外の生産部門や物流部門の混乱がある中、版作成から袋製造、袋販売まで順調に進むのでしょうか。2023年(令和5年)1月の導入時までに指定ごみ袋は販売され、市民は問題なく有料ごみ袋を購入することができるのでしょうか。
6.有料ごみ袋を小売店で販売委託する場合、例えば、ごみ袋(大)を販売価格50円袋(実際は10枚500円などと思われます)とした場合、小売店への販売委託料、袋の原価、市収入の構成はどのようになりますか(見積もっていますか)。これにより、市民負担を約2億円とした時(←これは乱暴な試算だと思いますが)、市への収入はいくらを見込んでいますか。
7.素案24ページで、廃棄物の適正処理:7項に「クリーンセンターの長寿命化」、8項に「一般廃棄物最終処分場(荒川町)の延命化」が記載されていますが、今回の家庭系ごみ収集の有料化検討は、将来のクリーンセンター(ごみ焼却場)や最終処分場の更新を意識しているように思えてなりません。ごみ焼却場の更新は、数年後(?)、180億円が見込まれていると聞いたことがあります。ごみ収集を有料化すると、国から建設助成金が出るとの噂も聞きます。こうした観点が、家庭系ごみ収集の有料化の理由の一つにあるのでしょうか。こうした理由があるのであれば、市民に隠さず、早めに丁寧に説明することが望まれるように思います。仮に、欠陥ある試算で市民負担を一世帯あたり年間約3千円とアピールし、しかし、実は導入時から一世帯あたりの実質負担が5千円から6千円となり、その後、袋の単価を上げていき、市民が気づきにくい中、一世帯あたりの年間負担額を、例えば、倍の年間1万円などとするようなことがあるとすれば、それは、今回、議論開始時にメディア報道もあった「一世帯あたりの年間負担額は約3千円」旨とは異なることになります。クリーンセンター(ごみ焼却場)や一般廃棄物最終処分場の更新を考慮する必要があるのであれば、更新時期や金額の目安などを市民や議員に示し、広い観点から丁寧な議論が必要であると考えます。
8.有料化により、有料化を嫌う市民が、不法投棄や野焼きをする可能性を考えておられますか。不法投棄や野焼きがあった場合、大垣市はどのように対応する予定でしょうか。警察などとの連携・協議も予定されていますか。
9.任意団体(自治会)や、その他有志などが、ボランティアで地域清掃などをして収集したごみ処理に対して、何か配慮を検討されていますか。(素案30ページ関連:現行シールと同程度の袋数の配布などを検討されていますか。)
10.ごみが減りにくい原因の一つに、小売店などでの(過剰)包装があると思われます。素案21ページからの具体的な取組に、この観点が記載ないようですが、何か検討されていますか。 例:昔は、野菜をそのまま販売していたところ、最近は、物流面あるいは衛生面から包装が増えているように見られます。衛生面での包装はやむを得ない場合があると考えますが、物流面などの理由であれば、簡易包装にしたり、包装を無しにすれば、家庭系ごみの排出量は少なくなる可能性を考えます。こうした観点で、市として小売業者に改善依頼や改善指導などをしてきましたか。今後、こうした依頼や指導をする予定はありますか。
11.素案17ページで、現行のごみ収集の満足度は高いようです。今のところ、現行の要領で満足している市民が多いと考えることができるかもしれません。こういう状況下、家庭ごみの収集の有料化計画について、市民の受け止め方をヒアリングしたことはありますか。それはどのような内容でしたか。また、有料化という概念的な話題だけでなく、実際に有料化した場合の具体的な金額について、市民の受け止め方をヒアリングしたことはありますか。それはどのような内容でしたか。
12.家庭系ごみ収集の有料化について、既に構想を市民への説明を始められしたか。制度が決定した後(条例が制定された後)の事後報告・説明になりますか。これは、議会の手続きを経れば可能かもしれませんが、一般市民を置き去りにする行政活動に映り、手続きに乱暴さを感じます。
13.素案28ページ、環境省の調査で、3市町以外の自治体での結果はどうでしたか。3つの自治体の実績だけでごみ減量化の効果を論じることは、危険ではありませんか。(この3つの自治体だけで偶然、ごみが減量となった可能性も推察します。)
14.素案34ページ「有料化なし」→「有料化あり」の表がありますが、有料化することで、家庭系ごみの総量は計画通りに減らすことができるのでしょうか。グラフにし、見える化をして考えますと、有料化した時点で思い通りに減量化が進むのか、疑問です。
15.素案35ページ:西南濃粗大廃棄物処理センターの同時開所で、関係市町との調整で課題となる事柄は何がありますか(例:人の配置?、負担金?)。この課題が解決する可能性はありますか。また、ペットボトルの回収を月2回、祝祭日の収集する場合に人件費、委託料が増加するとありますが、費用負担増はどの程度を見込んでいますか。(負担増加額、そして、現行負担額との差(および増加率))
16.家庭系ごみの減量化を目指すには、市民全体の意識向上が必要と思います。その中で、例えば、義務教育の中(小学校、中学校)で、ごみ減量化についての授業があると良いように思います。素案21ページに「小中学校と連携し」とありますので、ぜひ大垣市教育委員会様(大垣市墨俣町の中学生については、安八郡安八町様との組合と思われます(東安中学校))と連携し、家庭系ごみ減量化の意識づけを、例えば、生活科、社会科、特別活動(ふるさと教育)(あるいは、今後も大垣市教育委員会様が継続されるなら「ふるさと大垣科」)の授業の中で進められると良いように思います。
上記の内容より、現時点で「大垣市家庭系ごみ有料化計画(素案)」を進めることは、乱暴に感じます(横暴な行政活動と考えます)。特に、試算の不適切さなどについては素案を見直す必要があると考えます。
(今回のブログ投稿につきましては、素人の一市民による試算・グラフ化・私見のため、内容の是非については読者様がご判断いただきますよう、宜しくお願いいたします。)
【昨年の12月議会で「ごみシールを廃止してごみ袋を1枚30~50円に有料化すれば家庭ごみを8%削減できる」と突然、提案してきた岐阜県大垣市。この提案を各市議にも議会開始30分前に配った書面で知らせるのみで、市民に丁寧に説明するとしながらも、今まで何も知らせようともしない、ましてや議論し市民の声を聞くこともなく、今度の3月議会で拙速に決定しようとしています。】
一市民として、私もこの議会運営は問題と考えています。この議会運営について、以前、大垣市行政サービス「市政への意見箱」を通じて質問したところ、下記ブログで紹介した内容が回答として届きました。大垣市の議会運営は稚拙に思います。真面目な議員さんは、多分、こんなバカげた議会運営(=審議資料の開示時期は審議の30分前)に苦労されているように推察します。せめて、例えば、各議員さんへの審議資料の開示は【前日】とするような議会運営の見直しが必要であろうと、私は素人ながら一市民として考えます。