○贈答品の表書き
正しくは品名と数量を記すためのもの昔は贈り物をするとき、品物に内容を明記した目録を添えました。その目録を略して、包装紙に品名と数量を書いたものが「表書き」でした。例えば「御海苔 五帖」などと贈る内容を書き、その左下に贈る人の氏名を記すのが礼儀だったのです。
このように表書きは、かつての目録を省略したものですから、本来は贈る品物名を書くべきですが、現在は「御中元」「御歳暮」などと書くか、表書きを印刷した紙を貼ってすませるようになっています。
また、慶弔の場合には、祝儀袋・不祝儀袋に現金を入れて贈ることが多くなっていますが、その際に贈る側の意図がわかるような表書きをするのが一般的です。いずれも「品物の代わりに持参しました」という意味が込められています。
例えば、慶事の際には「御祝」「寿」「酒肴料」などと書き、謝礼を差しあげる際には「薄謝」「御礼」などと書きます。ちなみに、目下の者に謝礼を差しだす際には「寸志」です。
弔事の場合は、相手が信仰する宗教によって異なります。例えば仏教では「御霊前」「御仏前」「御香典」「御香料」とし、神道では「御神前」「御神僕料」「御玉串料」、キリスト教では「御花料」などと表書きします。
また、葬儀などで相手の宗教がわからない場合は、「御霊前」としておくのが無難です。
なお、毛筆で表書きをする場合に、慶事のときは墨を濃くして書き、弔事のときは墨を薄くして書くという習わしがあります。
とくに弔事に薄墨を使うのは、慶事や日常的な場合は墨を濃く、力強く書くのに対して、逆に薄く書くことで、悲しみを示すためといいます。この場合には、表書きだけでなく会葬御礼の封筒や、葉書の黒枠なども、薄墨のものにします。