「五月雨の降りのこしてや光堂」「五月雨をあつめて早し最上川」。ともに五月雨を詠んだ芭蕉の名句です。
さみだれとは稲を意味する「さ」に、「みだれ(水垂れ)」がついた言葉だといわれます。「五月雨解散」「五月雨戦術」などという表現などもありますが、五月雨とはパラパラと降ったり止んだりするにわか雨のようなもではない。旧暦5月の田植え時の雨、つまり梅雨のことです。
梅雨入りすると、陰鬱な雲が垂れ下がる日が続き、夜は月明かりもなく、真っ暗な闇となります。これを皐月闇といいます。鯉のぼりが泳ぐ五月晴れは、爽やかな初夏の晴天をイメージしますが、元来は、雲間にわずかに青空が見えるほどの梅雨の晴れ間のことを意味します。そのために、端午の節供は、新暦の5/5では、あいません。
気象庁がいったん出した梅雨明け宣言が撤回されることがあります。梅雨前線が北上して梅雨が明けたかに思いきや、再び前線が戻ってきて、強い雨を降らせることがあるからです。これを返り梅雨、戻り梅雨などといいます。ことしの、入梅は新暦6/11(旧暦5月19日)です。前にも書きましたが、今年は旧暦5月の次に閏5月が入り、1年が13ヶ月となりますので長い夏になります。