サンシーロ 今日は、ミラノ在住の新進気鋭のデザイナーと同じ大学院の友人3人でSan Siroに出 向いた。
我々はミランポイントで既に5日ほど前にチケットを購入していたが、当日券 も売っている状況であった。現に、席が埋まっているとはとても言えない状況で入り としては8割方と言ったところか。それにしても、柳沢が出ることが見込まれていた訳でもないのに日本人がやたらと多かった。我々の席は1階席のほぼコーナーフラッグの 近くであったが、周りにやたらと日本人がいて、すぐ隣にはどうやらミラン在住の日本人の女性、その隣には卒業旅行風の学生っぽい男二人。そしてその前には、これも学生っぽい男が5人、我々の席の2列上にはと日本人が二人とホントに日本人が周りに 多かった…しかし、皆首には赤いマフラー...(笑)
ACミランの先発は GKジーダ、DFカフー、ネスタ、マルディーニ、パンカロ、MFガッ トゥーゾ、ピルロ、カカ、セードルフ、FWトマソン、インザーギ
UC Sampdoriaの先発は、追いきれなかったため、ご容赦頂きたい。。(ほぼ、Divina が示している基本どおりのフォーメーションだったと記憶している。チェック頂きた い。)
さて、試合の観戦記であるが、概況としては、ミラノが勝って当然の試合だったかと 思う。前半5分くらいだけがサンプドリアの時間であったが、残りほぼ全てミランのシ ョータイムであったと言える。正確には分からないが、ミランのボールポゼッション は6割近かったのではないだろうか。その中でも特にピルロが抜群に良かった。ピルロ に関しては後に詳細を述べる。
前半は、サンプドリアの攻撃が若干見られた。チプリアーニ、バッツァーニ、ドナー ティが効果的に絡み、攻め上がる場面が多かった。中盤がめまぐるしく動き回り、ガ ットゥーゾ、セードルフ辺りからチェックにはいけず、サンプドリアがボールを持つ ことが多かった。ボールの回し方は、必ず中盤がDFラインに顔を出し一度落ち着いて から攻め上がる形であったと思う。アウェーだったためか、サンプドリアはそうそう アグレッシブには攻め上がれず、どちらかのサイドが上がるのを待つ形が多かった。
サンプドリアの失点のシーンは下記のようである。
ミラン先制の後サンプドリアがすぐに取り返したのであるが、Maldiniが攻め上 がったままの状態で、サンプドリアの中盤がこまめに繋いで左サイドにパスを出した ところから始まった。Maldiniが上がる回数が多いと必然的にネスタの仕事量が 増えるのだが、ミランの失点は、センターサークル辺りでネスタがサンプドリアの選 手二人を見なければならない状況だった。Maldiniが攻め上がったものの、バイ タルエリアを過ぎてからミランはボールを奪われ、ちょうどドリブルする選手を頂点 に他の二人が左右に広がるような三角形を作る形で攻め上がったのであるが、ネスタ が一人でその左右に広がる選手をカバーしなければならない状況であった。これはい くらネスタでもきつい。最初、ネスタは右に流れようとする選手を捕まえようとする が、ネスタが右に流れた瞬間にパッサーは逆の左に駆け上がるトップにボールを当 て、攻め上がらせた。ネスタはすぐにその左に流れる選手を捕まえようと右に流れる FWを捨てたのであるが、左に流れる選手も捕まえきれず、どちらも逃がしてしまう最 悪な形であった。(これは別にネスタだけが悪い訳ではなく、フォーメーションを崩 した際のコンティンジェンシープランを左サイドのカフーも守っていないだけの話で ある。カフーの帰りは極めて遅い…)左でパスを受けた選手は攻め上がり、センタリ ングをするもボールは右に流れ結果的にサンプドリアの味方選手へのパスとなった。 受けた選手は再度センタリングを試みるなど何度かシュートを試みるが、GKのジー ダ、戻ったマルディーニ、ガットゥーゾに跳ね返された。しかし、最終的にペナルテ ィーエリア辺りに待ち受けていたサンプドリアの中盤の選手に綺麗に足を合わせら れ、ゴールを奪われてしまった。
ここでの重要なポイントは、やはりミランのディフェンスの要のマルディーニとネスタの距離であろう。
縦、横ともにネスタは非常に気を配り、僕が見る限りこの試合で攻め上がることは殆 どなかった。試合中もパンカロ、カフーに最終ラインはここだ、と手で大きなジェス チャーをしていた。また、カフーが攻め上がる際にはパンカロに中に絞るように指示 したり、逆の場合にはカフーにも指示を出していた(ただし、カフーは余り言うこと を聞いていない上に余りディフェンダーとしては機能していなかった)。ネスタはま だまだ若いがミランのディフェンスの要となりつつあると感じた。マルディーニはネ スタに任せられると感じているのか、自分が攻め上がるケースが多かったように思わ れる。
さて、ミランの攻撃であるが、先にも書いたとおり、ピルロが非常に効いていた。今日のマンオブザマッチは間違いなくピルロだと僕は思う。
前半だけしかカウントしていないが、38から39回味方にパスを出したがパスの成功確 率は恐ろしい程高く、パスミスは2回だけだったと思う。(コーナーを除く)そのう ち、大体距離は10m前後若しくはそれ以下のものが8割方。残りは大体25-30mくらいの パスだったかと思う。ボールをディフェンスラインまで迎えに行く動きも精力的で良 かったと思う。またとても視野が広く、逆サイドに眺めのパスを出した時や、同じサ イドを駆け上がるパンカロの動きなどは良く見ていて、タイミング、パスのコースは 抜群であったと思う。今日ミランが勝って当たり前だったと書いた理由はピルロが前 後半通じてとても効果的に働いたからである。今日のミランは、前半の17-8分くらい にピルロのミドルシュートで先制得点を上げたが、それ以外の時間帯もミランは見事 なまでにピルロにボールを回し、その中でポッカリ空いたペナルティーアークから放 ったスライス回転のシュートは右ポストに当たり、左サイドネットを揺らすと言う芸 術的なゴールだった。スターターの発表の際、ここ最近調子の良かったルイコスタじ ゃないのか?と思ったのだが、今日はアンチェロッティーの戦術はバッチリ決まった と思う。
また、ピルロと同じくらい効いていたのはガットゥーゾであろう。ご存知のとおり、 ガットゥーゾはホントによく動く。ちょうど全盛期のヴェルディーの北沢選手のイ メージである。いや、勿論それ以上なのであるが。右に左にとても効果的に相手の攻 撃の芽を潰し、そしてすぐに味方へパスを出せる。失点シーンは、最終的に失点はし たものの、最初のシュートを止めたのはゴールマウスまで戻ったガットゥーゾであっ た。彼は特に荒っぽいプレーをする訳でもなく、相手からサっと奪い取ることが多か ったように思える。また、相手のパスコースを潰すだけではなく、予想がとても上手 いジョカトーレだと思う。どの監督でもガットゥーゾは使いたがるのではないだろうか。