日曜は、今シーズンのセリエA最終戦。特にこれと言った用事もない。
観に行きたいなと思いつつ、先週から全くと言って良いほど時間がなく、大学院と自宅を往復する毎日...。仕方なく、前日の土曜日、Tramに乗ってNaviglioまで行き、Milan Pointにチケットを買いに行ったのであるが残念ながら売り切れ…。
ミラノポイントの前で待ち伏せしているダフ屋が早速声を掛けてくる。
しつこい!!
思わず蹴ろうかと思うくらい20回くらい〝チケット?!〟などと聞いてくる。。。かなりイラだったがどうせ馬鹿高いので諦めてPiazza 24 Maggioのマーケットに行ってぶらついた後、ショボショボと友達の家に行った。まぁ、頭の中で当日サンシーロ前のダフ屋で買えば良いか、と割り切っっていた。前回の試合、ミラン対ローマの優勝が決まる試合はミランポイントで250ユーロ、実際現地では280ユーロ(約4万円)と言う憂き目にあったにもかかわらずなのだが、現地のダフ屋に掛けることにした。。。
当日、チケット持ってないくせにMilanistaフル装備でSan Siroへ向かった。いつもとは違って、メトロの赤線でLotto駅から行った。余り早く現地についてもチケット代は高いだけなので時間が掛かる方法で行った。いつも誰かと必ず待ち合わせしていくのでDuomoからしか行った事がなかったので初めてLotto駅から行った。駅の目の前からはバスが出ていたので飛び乗った。おかげでえらく早く着いてしまった…(笑)
*誰もチェックなど来ないがきちんとチケット持ってないと、意外と
降り場にチケットチェックする人が待っていたりするので要注意!
Lotto駅から歩くと恐らく20分は掛かるのではないだろうか。バスでも結構遠い…ここ最近のミラノはとても天気が良く、かなりの日差しだった。歩いていたらへばっていたこと間違いない。。。暑い中ダフ屋を探すのはツライなー、と思っている時、ふと前日にミラノ在住のデザイナー(♂)から僕は最終戦は観戦しますよ、と言う内容のメールをもらっていたことを思い出し、電話を掛けてみた。彼はもう長くミラノに在住のミラニスタ。初めて会った時にサッカーへの〝深い〟洞察力と見方に共感を覚え何度かメールをやり取りさせてもらっていた。しっかりAbbonamento(アッボナメント:日本式に言うシーズンチケット)を彼女の分も含めて2つ持っている生粋のMilanistaである。尚、彼宛のデザイン関連の仕事の依頼がある場合には取り次がせて頂きます(ホントに)。
〝あぁ、僕の席で良ければもう一枚ありますよ〟
渡りに船とはこのことである。もう感謝感激である(そう言えばチケット代を払っていないので必ず何かお礼します!>としくん!!)。
さて、こんな最終戦にもなって売り切れるのは我がMilanが先々週の試合でRomaを〝Uno-Zero(ウノゼロ)〟で下して試合後にセレモニーがあるからではない。言わずと知れた稀代のFantasita Robert Baggioの引退試合である。我々の世代にとってはBaggioは一人の憧れであることは間違いない。日本でAzzurriの試合を観る機会などは余りないし、実際昔セリエAの試合を観ることなんてテレビでも無理だった。しかし、サッカーダイジェストに踊るファンタジスタの記事を見る度に憧れだけは増幅していった。そして、Baggioと言えばやはり94年ワールドカップ決勝のPK失敗が目に焼き付いている。。。当時イギリスにいた僕は仲間内10人くらいで皆でItalia対Brazilの試合を観た覚えがある。クロスバーを高々と越えていくボール…悲しいけれどもバッジオのイメージはこれが強かった。きっとあんな舞台でPKを外したことはロビーにとっては一生消えない傷だと思う。本人の気持ちを推し量ることはできないが…
*ワールドカップ常連の国に生まれ、テクニックを磨き、
プロとしてトッププレーヤーに上り詰め、アズーリとし
て選ばれ、アズーリの中でレギュラーになり、自分の国
の地域予選を勝ち進み、ワールドカップ本大会に進み、
本大会の予選リーグを勝ち残り、決勝トーナメントに進
み、負ければ帰国と言うプレッシャーに打ち勝ち、決勝
に進んだのである。
その場に立てたことだけでも素晴らしいことだが、Runnners upのことなんて誰も覚えてない。勝者にしか光は当たらないからである。しかし、あの時のBaggioの表情は何故か忘れられない。そんな大舞台だったのに、何故か晴れ晴れとしていたように思えて仕方ない…。そう思えたのは小生だけなのかも知れないが、、、
そんなことを思いながら、としくんを待ち、San SiroでBaggio率いるBresciaを迎えた。言わずもがなであるが、BaggioはかつてRossoneroのユニフォームに袖を通してた。Milanのウルトラスも当然知っている。イタリアのサポーターは本当に暖かい。かつて自分たちを興奮させてくれたヒーローを敵チームに行っても最後(?)だと分かっている彼らはスタンディングオベーションで迎える。
試合について。ミランは怪我のGKディーダ以外ほぼベストメンバー。ただ、前半のカカは全く精彩を欠き、パスミス、トラップミスと立て続けにミスを重ねていっていた。前半開始15分までにパスミス2度、トラップミス4度と最悪だった。特にキーパーからのロングフィードのバウンドに合わせられずいきなり相手に取られたシーンなどはお粗末だった。。。先週レッジーナに負けたように気が抜けているのか?20分過ぎだったか、今度はシェフチェンコがスパイクを交換している。。。おいおい、こんな光景、急に雨が降った試合なら兎も角、観たことないぞ...ちょうどとしくんとシェフチェンコのスパイクの色凄いですねー、なんて言っていたところだった(試合開始後履いていたスパイクは蛍光オレンジ…)。またシェバーもポジショニングがトマソンと被ったりして良くなかった。
35分、精彩を欠いていた前半の前半から立ち直ったか、カカからトマソンへ素晴らしいパスが出される。トマソンの走るスピードと振り抜く足のタイミングにドンピシャリのパスが出され稀に見る綺麗なゴールが決まった。珍しくトマソンが喜んでいる。そして立て続けにピルロから何故か彼よりも中にいたカフーにボールが渡り、珍しく切れ込んだ彼のシュートのこぼれ玉をきっちり押さえに行っていたシェフチェンコがゴールを決めた。いわゆる〝ごっつぁんゴール〟なのであるが、あれこそアタッカンテである。きちんと詰めて自分の前にボールが転がるかも知れないと言う決まりごとをきちんと守りつつ、嗅覚を働かせるのが仕事である。
後半、ブレシアが頑張りを見せる。25メートルくらいあっただろうか。かなりのロングシュートであった。これは明らかにGKアッビアーティのポジショニングミス。特に誰かDFと被っていた訳ではないのに、自分が立っていたサイド(ニア)にズバン!と決められてしまった。これは完全にキーパー失点である。その後、ゴール前で見事なまでにピルロ、シェフチェンコ、カカがボールをつなぎカカの放ったシュートを相手GKが弾いたところシェバが頭で押し込んだかのように見えた。転々とするボールを最後に押し込んだのはトマソンだった。若干最後は泥臭かったがそれまでのプロセスが見事だった。この後、ブロッキ、ルイコスタ、レドンドと3人が次々と交代していった。
*レドンドは恐らく今シーズンでミランを退団するのであろう。
それを知っているミラニスタは交代をピッチ脇で待つレドンド
に暖かい拍手を向けた。
後半20分過ぎだっただろうか、見事なトラップの後にカカに出したパスが自分のところに戻ってきて、振り向きざまにゴールを押し込んだ。この後再びブレシアは1点を返すが(これも明らかにアッビアーティーのポジショニングミス)、クライマックスはこの6点のどこにもなかった。後半38分にBaggioが交代するとスタジアム全体から割れんばかりの拍手。サイドライン中央付近でBaggioとMaldiniがしっかりと抱擁していた。思い出しても涙が出そうな光景だ。。。きっと二人の中でしか交わせないような言葉があったのだろう。いや、なかったかも知れない。アズーリ、ミランと同じユニフォームを着た者同士だ。スタンディングオベーションは暫く続き、こんな光景は初めて見たが、バッジオは相手ベンチの中に入り次々と抱擁する。メインスタンド左側の選手入り口へ向かうバッジオを見送る8万人。鳴り止まない拍手。。
幸せなゲームだった。
また来年もあなたを観たい、ボビー!
いつもは「FJ」MLでお世話になっています。
ロビー最後の試合観戦記、大変楽しく拝見しました。
1994年アメリカW杯での雄姿は忘れられません。
怪我で足を引きずりながら最後のPKを外した時、
優勝したブラジルより強烈な印象が残りました。
後世に「ロビーのアメリカ大会」と名を残すこと
でしょう。
ちなみに私のHNも勿論ロビーから借りました。
今後も勉学とサッカー観戦に頑張ってください(笑)
この日記を時々拝見することにします。
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ロベルトヤマ hyosaka@isis.ocn.ne.jp
そして今後もまたサッカーと仕事に明け暮れたいと思っています。。