『そしたら私も海外に行って、帰ってきたらリッチな生活が送れるのね。じゃぁ、頑張って…』
Aは社会人5年目に日系企業から某外資系企業に転職した。日々仕事に忙殺される日々を送っており、明らかに以前の会社よりもプライベートは少なくなっていた。週に1回会うか会わないかの彼女はいたが、転職をしたものが必ず陥るように、この状況では会えるわけもなかった。
給与の面でも仕事の遣り甲斐の面でも比較的今の仕事には満足していたが、更なる高みを求めつつ、また現状を打破しようと思い、留学を考えるようになった。大学時代からの友達Iに相談したりし、評判の良い渋谷にある某留学予備校に通い、GREとTOEFLのスコアメーキングを試みた。仕事でも日々英語を喋ることが多く全くの初心者と一緒と言うことはなかったので容易にスコアメーキングできるかと思いきや、やはり文法などには少々手こずり、仕事の空いた時間に勉強すると言うのは非常に厳しくなかなかスコアが出なかった。出張も重なったり、深夜残業も毎日のようにあったが、何とか勉強生活と社会人生活を両立させていた状態だった。
週末の深夜、彼はいつものように大学時代の友達と携帯で連絡を取り合い西麻布の行きつけのカフェに車で乗り付けた。それぞれが誰か友達を連れてきて、毎回誰か新しい子と遊ぶ週末が続いていた。そうでもしないとストレス発散ができない状態に陥っていた。週末の夜中は決まって広尾や六本木に車で繰り出す。疲れている時に限ってこう言う遊び方をするのは、大学時代から全てを語り、疲れている中でも気を遣わなくて済む間柄の友達だったからである。疲れているなら寝れば良いもの、人間、理に適っていることをするとは限らない…
その日は大学時代から六本木や渋谷のクラブに連れて行っていた後輩が友達を連れてきた。何となく喋った後、ビリヤードとダーツができるショットバーに移動し色々と話をした。話はやっぱり男と女。夜の三宿で愚痴を言うのはお洒落じゃなかったが、何となく意気投合しカタルシスが味わえた。波長があっていたためか、知り合った後、双方ともに付き合っていた彼氏、彼女とは暫くして別れたためにお互い付き合いだし、その後程なくし婚約した。。。特に紹介してもらうことを目的とはしていなかったみたいだが、純朴で可愛らしい子だった。小柄で目がくりくりとしていて、笑顔は誰か特定するのは難しいのだがどことなく誰か芸能人に似ている感じがしたようだ。二人でデートしている時は良く話すしベッドの上では積極的な二人だったが、友達が廻りにいる時は借りてきた猫のように大人しかった。が、自分だけに見せる本当の笑顔を知っていたため、そんなギャップにAは何となく優越感に浸っていた。
ただ、婚約したとは言え、仕事が忙しいことには変わりなく、また一念発起して高い授業料を留学予備校に払ったものの中々授業には行けない日々も続いていた。。。当然婚約者とも時間を過ごしたかったのだが、留学のために仕事が疎かになることを恐れていた彼は仕事の手を休める事なく日々深夜まで働きつつ、月に何度も出張を繰り返した。
ある日やっと巡って来た、デートの時、中々会えない彼女に対して言い訳がましかったが、自分の夢を語った。
〝特殊技能がいるこの業界で自分の基礎を磨き、本当に自分のやりたい仕事に早く辿り着くためにアメリカに留学したいと思ってる。婚約したけどなかなか会えないが、キャリアのことも重要なので我慢してもらえるかな〟
と。婚約したものの中々会えない日々にヤキモキしていた彼女は、半ば強制的に納得させられたようなものだが、君が自由に生活できるだけの生活費も貯めているから結婚したら海外で新婚生活をスタートできる、と言う言葉に即座に反応し、また、育ち柄人並み以上の生活を常に求める傾向にある彼女は彼に対して最後に言った言葉だった。
『そしたら私も海外に行って、帰ってきたらリッチな生活が送れるのね。じゃぁ、頑張って…』
どうやら結婚したら専業主婦になりたいと思っているのは前々から聞いていたため、結婚したら彼女を含めて自分の家族を養っていかなければならないことは頭では分かっていたが、余りにも依存的な言葉に彼はしばし考えてしまった...一体、彼女は彼にとって何なのか。。。そして彼女にとっての彼は何なんだろうか、と。
(続く…)
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なんとなく結果は知っているような気がするけど・・
依存的な言葉、、、って言ってみたいけどいえないのが辛いと思う意地っ張り乙女です。
専業主婦は三日で飽きそうだけど、私もMBAを目指そうとした事があったので、こんな時に家賃払ってくれる人がいればと一瞬思ったり。
でも当時の私は、男を捨ててでも海外赴任ポストを虎視眈々と狙っていたんですが。
で、これってご自身の体験談ですか?(爆)
(どんなんやねん・・・)
週末に続きを書き起こしたいと思います。。
ま、秘密ですが…(苦笑)