
先日お伝えしたカーナビゲーション故障事件。何とか復旧させようと、あの手この手を尽くしましたが……。
玄人好みのルート案内に強く惹かれ、長年に渡って使い続けてきたマスプロ・GP800。このマスプロとは、ずばりTVアンテナなどで有名なあの会社です。日本がまだカーナビゲーションの熱い渦に盛り上がっていた時代、いろいろなメーカーがカーナビを作っていたのです(当時のマスプロのカーナビはビクターと共同開発でした。なんと、あのカシオもやっていた!)。
この時代のカーナビは各社ともまだまだ成長段階にあり、それだけに目的地へ少しでも快適に到着させようと、多くの試行錯誤がなされました。技術大国日本の名に恥じないこの技術者の熱い想いが乗り移ったかのように、カーナビも一生懸命に仕事をしてくれました。
それは自車位置を示すマーカーによく表れていました。当時の製品はGPS信号のみで自分の位置を確認していたので(今は車速パルスというものも利用)、特定の状況下などではどうしても自車を見失うことがありました。突如回り出したり、東京湾に突っ込んでみたり……。当然、精度も少し甘く、交差点などで信号を過ぎているのにまだその手前にいたり、曲がったのにマーカーは直進することも。
とにかくマーカーの位置を信じ込んでいると、危ないこともありました。しかし、位置がずれる度にうろうろして必死で自車位置を修正しようと動くのです。それは、明らかに狼狽ぶりが伺える動きでした。機種により時間差はありますが、最終的にはちゃんと本来の位置に戻ってくれます。
ルート案内にしても、ナビが勧めるルートを外れると遅いCPUをフル回転させて、そのままのルートを意固地に提示したり、あっと驚く気の利いたルートを引いてくれたりします。
当時のナビには、それぞれの機械にあきらかに意志があり個性が感じられました。こいつ馬鹿だなーと思うルートもしょっちゅう引きましたが、なにをするにも一生懸命でそれが微笑ましく、対話しているような感覚の時もありました。それが、最近のカーナビはこのマーカーの動きとかがたいへんツマラナイ。ルート案内も含め、なにかあらかじめ決められた何かに沿って的確にスイスイ動いているような印象で、おもしろみがちょっと。カーナビ能力としてはひじょうに正確かつ的確で申し分ないのですが、このGP800の危険な毒牙の餌食になってしまうと、もうその中毒から抜け出せず目が曇り続けてしまうのです。
前置き長すぎましたが、それでなんとかGP800を復活させようと同じ機種を入手したのが前回までのおはなし。
代替え機に電源繋ぐ瞬間はドキドキ。ONにしたら本体のインジケータランプが点灯。カーナビオープニング画面も立ち上がりました。やったー!
当然、地図ディスクがないと画面に表示されたので、もうそわそわいそいそとディスクをスロットオン。『キューキュキュ』っと読み出し音がした後、日本地図がでーんと表示されました。おっしゃー! 完璧だ、とリモコンでスケール変更をしようと『ポチッ』。
……、おや無反応だ。
メニューキーなど他の命令もまったく受け付けない。
でも起動はしているし、地図の表示もされている。心当たりとしては、この地図ディスクが正式には対応していない最新Ver.だということ。そこで日をあらためて、古い地図ディスクを用意して挑んでみました。
ところが、残念ながら結果は同じ。前回にも書きましたが実はこの交換ボディ、ちょっといわくつきで動作保証はしていなかった。送り主からも、「時間あれば動作チェックしておきますが、なんとも言えませんよ」と言われてましたから。
そんな、ここまで来て。起動するし地図ディスクも読み込むのに、諦めなのか。このディスク、2枚組の全国版で(東と西に分かれている)西日本の地図は一回も使ってないよー、とさらに打ちひしがれる。
直射日光照りつける熱い日でしたが、諦めずにそれぞれの機体をバラしました。互いに悪いところがあるのなら、それぞれが補え合えば動くのでは? と。そう、世に言うニコイチへの挑戦です。とはいっても、前にも書いたようにGP800は恐ろしく効率的な設計がされているため、基板部を交換してやるぐらいしか手がありません。片や電源部がおかしく、もう一方はCPU部がおかしいのではとあまい期待と予想を立てて、それぞれの基板をチェンジ。
結論的にはやはりダメでした。どうやら電源、GPS、CDメカ、TVチューナー部はどちらも正常で、核となる電子基板部がOUT。こればかりはお手上げです。目視する限り破損したパーツや断線しているパターンなどは確認できず、これ以上はもう専門家の領域です。
当のマスプロがもうサービスを打ち切っている現状、さすがに諦めざるを得ませんでした。
今まで、ほんとこのカーナビゲーションはよくやってくれと思います。どんな状況下でも懸命にルートを引き、自車位置を捉え、時にはあまりリルートを繰り返させるとグレてルート案内を放棄することもありました。目的地をともに目指すという意味で、カーナビは他の車載電子機器に比べはるかに相棒という気がします。ようやく着いた、無事に着けたー、というような一体感。そんな彼にもとうとう寿命が訪れたようです。突然の別れでしたが、長年の献身に感謝して、ご苦労さまと声をかけたいです。
「今まで本当に、ありがとう。ご苦労様でした」
玄人好みのルート案内に強く惹かれ、長年に渡って使い続けてきたマスプロ・GP800。このマスプロとは、ずばりTVアンテナなどで有名なあの会社です。日本がまだカーナビゲーションの熱い渦に盛り上がっていた時代、いろいろなメーカーがカーナビを作っていたのです(当時のマスプロのカーナビはビクターと共同開発でした。なんと、あのカシオもやっていた!)。
この時代のカーナビは各社ともまだまだ成長段階にあり、それだけに目的地へ少しでも快適に到着させようと、多くの試行錯誤がなされました。技術大国日本の名に恥じないこの技術者の熱い想いが乗り移ったかのように、カーナビも一生懸命に仕事をしてくれました。
それは自車位置を示すマーカーによく表れていました。当時の製品はGPS信号のみで自分の位置を確認していたので(今は車速パルスというものも利用)、特定の状況下などではどうしても自車を見失うことがありました。突如回り出したり、東京湾に突っ込んでみたり……。当然、精度も少し甘く、交差点などで信号を過ぎているのにまだその手前にいたり、曲がったのにマーカーは直進することも。
とにかくマーカーの位置を信じ込んでいると、危ないこともありました。しかし、位置がずれる度にうろうろして必死で自車位置を修正しようと動くのです。それは、明らかに狼狽ぶりが伺える動きでした。機種により時間差はありますが、最終的にはちゃんと本来の位置に戻ってくれます。
ルート案内にしても、ナビが勧めるルートを外れると遅いCPUをフル回転させて、そのままのルートを意固地に提示したり、あっと驚く気の利いたルートを引いてくれたりします。
当時のナビには、それぞれの機械にあきらかに意志があり個性が感じられました。こいつ馬鹿だなーと思うルートもしょっちゅう引きましたが、なにをするにも一生懸命でそれが微笑ましく、対話しているような感覚の時もありました。それが、最近のカーナビはこのマーカーの動きとかがたいへんツマラナイ。ルート案内も含め、なにかあらかじめ決められた何かに沿って的確にスイスイ動いているような印象で、おもしろみがちょっと。カーナビ能力としてはひじょうに正確かつ的確で申し分ないのですが、このGP800の危険な毒牙の餌食になってしまうと、もうその中毒から抜け出せず目が曇り続けてしまうのです。
前置き長すぎましたが、それでなんとかGP800を復活させようと同じ機種を入手したのが前回までのおはなし。
代替え機に電源繋ぐ瞬間はドキドキ。ONにしたら本体のインジケータランプが点灯。カーナビオープニング画面も立ち上がりました。やったー!
当然、地図ディスクがないと画面に表示されたので、もうそわそわいそいそとディスクをスロットオン。『キューキュキュ』っと読み出し音がした後、日本地図がでーんと表示されました。おっしゃー! 完璧だ、とリモコンでスケール変更をしようと『ポチッ』。
……、おや無反応だ。
メニューキーなど他の命令もまったく受け付けない。
でも起動はしているし、地図の表示もされている。心当たりとしては、この地図ディスクが正式には対応していない最新Ver.だということ。そこで日をあらためて、古い地図ディスクを用意して挑んでみました。
ところが、残念ながら結果は同じ。前回にも書きましたが実はこの交換ボディ、ちょっといわくつきで動作保証はしていなかった。送り主からも、「時間あれば動作チェックしておきますが、なんとも言えませんよ」と言われてましたから。
そんな、ここまで来て。起動するし地図ディスクも読み込むのに、諦めなのか。このディスク、2枚組の全国版で(東と西に分かれている)西日本の地図は一回も使ってないよー、とさらに打ちひしがれる。
直射日光照りつける熱い日でしたが、諦めずにそれぞれの機体をバラしました。互いに悪いところがあるのなら、それぞれが補え合えば動くのでは? と。そう、世に言うニコイチへの挑戦です。とはいっても、前にも書いたようにGP800は恐ろしく効率的な設計がされているため、基板部を交換してやるぐらいしか手がありません。片や電源部がおかしく、もう一方はCPU部がおかしいのではとあまい期待と予想を立てて、それぞれの基板をチェンジ。
結論的にはやはりダメでした。どうやら電源、GPS、CDメカ、TVチューナー部はどちらも正常で、核となる電子基板部がOUT。こればかりはお手上げです。目視する限り破損したパーツや断線しているパターンなどは確認できず、これ以上はもう専門家の領域です。
当のマスプロがもうサービスを打ち切っている現状、さすがに諦めざるを得ませんでした。
今まで、ほんとこのカーナビゲーションはよくやってくれと思います。どんな状況下でも懸命にルートを引き、自車位置を捉え、時にはあまりリルートを繰り返させるとグレてルート案内を放棄することもありました。目的地をともに目指すという意味で、カーナビは他の車載電子機器に比べはるかに相棒という気がします。ようやく着いた、無事に着けたー、というような一体感。そんな彼にもとうとう寿命が訪れたようです。突然の別れでしたが、長年の献身に感謝して、ご苦労さまと声をかけたいです。
「今まで本当に、ありがとう。ご苦労様でした」