煮沸

震災に伴って原発の問題が大きな不安となっている。

その中で水道水になる浄水場の水から、基準値を超える放射線量が検出されたと伝えられるようにもなった。

そのときにニュース等の一般人の反応で、煮沸すればいいのか等対処の方法が知りたい、とか、ツイッターでも煮沸するとどうなるか実証実験をやってみたら、濃縮しただけで煮沸しても減らないから気をつけて、というツイートを拡散するリツイートが見られた。

この反応、そもそも煮沸を何のためにするのか、わかってない人がやたらと多いことを示しているように思う。

煮沸は除菌、滅菌が一般的な目的かと思う。身体に触れる、あるいは体内に入るもので、身体に害を及ぼす毒素などを出す、またはそれ自体が何か悪さする生命体を、死滅させるのが目的である。

放射性同位元素は物質である。水に溶けた物質を煮沸すれば水だけが蒸発して濃縮するのは当然で、海水から塩を作るのと同じ原理である。

仮に元素に菌のような生命体が付着しているとして、それを煮沸をするというのは、それだけが死滅して放射性同位元素がきれいになるだけのようなイメージである。

どうにも、非常時のパニックからくる反応というよりは、義務教育の理科で教わる基本的なことを、教わった気にだけなっていて、学ぶことができていないことの証左ではないかと思う。

いずれにしても、現在の状況は異常というか、被災地から遠いところであったとしても、予断を許さない緊張した状況である。こうした状態が早く平穏な形で終息してゆくことを祈念せずにはいられない毎日である。

故に、沈着冷静な判断は常にこそ心がけたい。


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