北アルプス初めての沢登りで、いきなり厳しいコースですが
初めてなので、よくわからないまま行ってしまった、というのが実態です。
こんなものかと思っていましたが、後に南アルプスの沢を知ると
とんでもないところを行ったのだと思います。
それでも、雨が降れば命取りということはわかっていましたから
計画から2年間は天候に恵まれず、出発してから焼岳・笠ヶ岳など
代替コースに変更するなどしてチャンスを待ちました。
1997年(平成9年)
8月13日
新穂高温泉~広河原(テント泊)
新穂高温泉に車を止め、R471の見座発電所までタクシーで移動。
そこから双六川沿いに、広河原まで林道歩き。
双六ダム
広河原手前から小雨が降り出し、
ダム関連と思われる管理施設の雪除け庇の下を今宵の宿とする。
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8月14日
広河原~沢2泊目(テント泊)
いよいよ沢に入って行きます。
天気ははっきりしませんが、夏の朝曇りで日が高くなるにつれてよくなりました。
というか、谷に入っていると空が狭く雲がかかると暗くなって天気がいいのか悪いのか
よくわかりません。
谷が大きく、水流も多い。
できるだけ岸を歩こうとしても、行き詰まると渡渉しなければならない。
上の写真は、川泳いでを渡ろうとして流されたときのものです。
水が深く幅もあったので渡渉どころではなく、泳いで渡りだし
あと少しで岸に手が届く、と思った瞬間流され
5mくらい下流に2mくらいの段差があり、ドボン。
泳ぎついたところを撮ったものです。
この時は肝を冷やしました。
ひとりではどうにもできず、
万が一の時はこの地点から下ることも登ることもできない。
幸い、すぐ水から顔を出し、石にたどりついて上に登ったのでほっとしました。
2泊目。ツエルトを張って一息。濡れたものを乾かし、早速夕食の準備。
写真にも写っていますが、わらじをはいていました。地下足袋にわらじ。
オールドファッションド渓流履物。3足持って行きましたが、
九郎右衛門沢に入る所ですべて使い切り、あとは布切れを地下足袋に巻いて歩きました。
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8月15日
沢2泊目~沢3泊目
谷は深く、難易度も増していきます。
ここは無理と判断、写真右の岩を登ります。
上の写真の右側の岩場。
雪渓が残っていました。
道理で水が冷たい。
3泊目。疲れがたまってきています。
濡れたものを乾かそうとしますが、なかなか乾きません。
そして煙くさくなります。
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8月16日
沢3泊目から、九郎右衛門谷~黒部五郎小屋~三俣蓮華~登山道(ビバーク)
いよいよ沢から脱出です。しかし、九郎右衛門谷の入り口には大きな滝があります・・・。
高巻き~何回か高巻きしましたが、エイト環がからまったことがあり
宙づり状態になりました。
ハーネスをつけず、ザイルを腰に巻いただけでしたので、
ザイルが腰に食い込み、痛い思いをしました。
装備はきちんとすべきと反省しました。
九郎右衛門谷に入ると大きな滝があるので、双六谷に入り、一つ目の小さいルンゼをよじ登ると尾根に上がれます。
急斜面で草につかまりながらでしか歩けません、というか這って登る状態で、尾根を越えると九郎右衛門谷に出れます。
沢に出ると水量も少なく、ルンルン気分で最後の詰めを登れます。
九郎右衛門谷~どんどん高度を上げて視界が開けて行きます。
九郎右衛門谷をつめると、黒部五郎小屋のテンバにつきます。
その後、2011年8月に薬師岳黒部五郎・読売新道を縦走した時に懐かしく思い出しました。
ここからは一般登山道です。
靴を履き替えると足が温かくなります。
今日は行ける所までいってツエルトを張ります。
結局、三俣蓮華岳と双六岳の間で水が取れるところでビバークとなりました。
夜中、動物の気配で目がさめ、寝袋からすぐでられるよう身構えましたが
気配が去っていくとともに、眠りに落ちて行きました。
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17日
ビバーク地点~新穂高温泉
双六小屋
双六小屋の下から沢が始まっています。これが金木戸川につながります。
ここから下ってもう一度九郎右衛門谷に行ってみたいと思っていましたが
チャンスはまだきません。
しかし、素晴らしいお天気になりました。
雨には降られることなく行けたのはラッキーでした。
2年も待った甲斐がありました。