【東洋占術の世界】
②古代東洋の天文学
現代の占いとは、古代の科学である。
今占い師が使用している手相、四柱推命、九星気学、算命学などは全て古代中国の天文学から派生した暦術なのである。
算命学体系には
“西洋人の天体観測が天文学を生み、数学や物理学を発展させ、
東洋人の天体観測は天文学を生み、思想や占術、倫理学を発展させた。“
と綴られているが
本来科学には情緒は必要ないはずだが、古代東洋の科学である暦学には思想的な要素が内包されており、どこか倫理的である。
というのも、占術、暦術は古代において戦争に勝利するための兵法であり、且つ政治を見通すための道具でもあった。
孫氏の兵法といった軍学があるのと同様に、いわば処世術、人間学であり、哲学的な学問そのものだったに違いない。
古代には気象観測の技術が整っていなかった為に、今では迷信に近い占術に頼ってしまっていたのも自然の理と言える。
まとめると、東洋占術は哲学的で思想学に近いということだ。
東洋占術の最も根本となる思想に「陰陽五行思想」というものがあるが、それこそがまさに古代東洋人の思考の基盤となっていて、それを無視して東洋占術、文化を知ることは不可能である。
全てが集約していく先、大元にはいつもこの「陰陽五行思想」がある。
③陰陽五行思想とは
「陰陽五行思想と日本の民俗」吉野裕子【著】
この本は愛読書の一つだが、題名にある通り陰陽五行は日本の暮らしにも根付いている。
神道の世界でも「九重参り」という4ヶ月ごとにお参りをする伝統的な御作法があるが、九重参りは九星気学を参考にしており、その九星気学も含めて占術の殆どは陰陽五行思想がベースとなっている。節分に豆をまく理由も、ひな祭りも全てここからきている。
「青二才」「青春」といった日本語にも陰陽五行の色分けの影響が見受けられる。
これほどまでに陰陽五行思想は我々の文化に根付いているというのに、知らないままでいるのはちょいと悲しい。
陰陽五行思想とは「陰陽説」と「五行説」が自然と合わさっていった思想であり、片方ずつ説明する必要がある。
1、「陰陽説」
下図は陰陽マークで有名な太陰太極図
陰陽とは二元論である。
古代人は昼と夜、男と女、暑い寒いなど対立する事物により自然と二元論を生み出したと思われる。
時計のない古代人にとって、朝の光は体内時計のリズムを整える最も必要なものであったに違いない。街灯のない世界の夜は暗く、襲われる危険もあったから、朝の光が待ち遠しかっただろう。繰り返される明るい朝と暗い夜のリズムによって、自然と陰陽の概念を生み出していったに違いない。
この段階で注意したいのは、この思考法は暦術以前の思考法であり、占術作成よりもずっと前に作られているということだ。
ところで最も重要な二元論とは何だろう。天と地、昼と夜以外に忘れてはならないものがある。
それは「時間」と「空間」だろう。
何もなかった世界、宇宙から太陽系が生まれ、地球から大地が生まれ、木々が生まれ、複雑化していくことを考えると、最初は全てが集約されていた単純な「0」であったに違いない。
それを複雑化するにあたり、元々一つであったものをエントロピーの法則により二つ、三つと変化していくことから、
「二元論」は自然と人間の無意識化にあったのだろう。
何もない無から有が生まれたとすれば、最初の変化とは他でもなく「時間」と「空間」だろう。
時間が空間の運動によって生じると考えると、本来時間と空間はセットなのだ。
【例】
空間=有形=1
時間=無形=0
コンピュータは全て1と0で反映されているが、1は電気が通っている(有)0は電気が通っていない(無)ということになる。
このように分けることを総称して陰陽説と呼ぶ。陰陽も複雑化し、太陽少陽太陰小陰など細かくなっていく。
陰陽説は、複雑化し変化していくこの世には最も重要な土台である。
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