テレビとうさん

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「円安」 と 「円高」

2022年09月21日 | 経済
 円安が加速しているようですが、まだ「バブル景気時(1987年~1990年)の為替水準並み(より円高)」です。バブル期と違うのは、日本の経済成長率や平均所得が主要国の半分以下と云う事です。

 「円高・円安」は外貨との評価基準でしかなく相対的な指標に過ぎません。例えば、海外投資額の大きい日本は世界一の対外純資産保有国なので、「円安基調」では貿易収支が赤字になっても金融収支は黒字になり、「経常収支」としては中立です。また、「円安基調」が収まり為替変動が安定すると、今度は輸出額が増えるので貿易収支が黒字化し「円高基調」に反転します。

 その時に取る政策によって、貿易の輸出入の立ち位置が異なれば結果も異なりますが、為替変動自体は、国全体でで見ると中立です。

 「円高」で輸入物価が下落すれば消費者が楽になり、輸入量が増えて国内産業は一時的に苦しくなりますが、原材料価格も下がるので企業利益は増加します。それと反対の事が(通貨安の)外国で起きる事になりますが、寧ろ経済が活性化して喜んでいると思います。

 「円安」で輸入物価が上昇すれば消費者は苦しくなり、輸入量が減って国内産業は息を吹き返しますが原料価格も上昇するので利益は減少します。これと反対の事が(通貨高の)外国で起きる筈で、消費者は物価下落で喜び、企業は利益の増加で笑いが止まらないと思います。

 アメリカは、「ドル安(円高)」で喜び、「ドル高(円安)」で笑いが止まらないようです。

 日本は、1990年ころから民主党時代まで続く「円高による経済停滞期」を経て、アベノミクスによる「円安誘導」で、消費税の増税が無ければ、国内経済は活性化した筈ですが、現在のパンデミクス(パンデミック時の経済手法)での「円安加速」も加わり、30年間に亘って金融収支はそこそこですが、消費税増税で可処分所得を減らされた為に経済成長率が低迷しています。

 本来は、為替変動は国全体で見ると経済的には中立で、景気動向は政策によって決まります。対外的には相対的ですが、国内経済の「安定」を図る政策の基本は、よく言われる「経済常識」とは反対で、

・「自国通貨安」の傾向がある時には、外国資本の流入を防ぐ。
・「自国通貨高」の傾向がある時には、国内資本の流出を防ぐ。

の一事一択です。破綻する多くの国は、この逆を行っています。

 経済合理性とは「安く仕入れて高く売る」ですが、「円安」時には「高く仕入れて安く売る」事になります。割高な輸入で外貨を失い、割安輸出で「外貨」を得にくくなるために、より多くの国内資源を放出する事になります。更に、国内政治力が弱ければ、国内不動産や企業も「外貨高」によって買い取られ「租界化」します。

 その内、「犬と日本人は立ち入り禁止」の看板が日本国内でも見られるようになります。経済(経世済民)とは、世を経め民を済うことであり、本来の意味はカネ儲けではありません。

 アメリカが「ドル安(円高)」の時に、日本はアメリカ資産を買いまくりましたが、円を使い果たした時期を見計らって日本叩きを始め、資金の流入を喰いとめました。現在のアメリカは「ドル高(円安)」なので、外国資本を呼び込んでいて外国企業の誘致政策が盛んに行われています。

 現在では、日本は「円安」にも拘らず、「大陸系資本の台湾会社であるTSMC」に5千億円をプレゼントしてまで誘致しようとしています。アメリカは「ドル高」なので、企業誘致は理に適っている上に、その優遇策は「税額控除」であり、アメリカに利益を落とした場合に限り税金を安くすると云うモノです。

 アベノミクス時代にしても、「円安誘導」をしながら「外国資本」を受け入れると云う、相いれない経済政策を同時に行いました。海外援助額の数十兆円は円安誘導に役立ちましたが、
中国には日本の広大な土地が買い取られました。

 現在は「円安」もあり、外国人労働者の「自国通貨換算での賃金」が目減りし始めたことから、自主的に帰国する人が増えると云う良好な気配が有るのですが、日本政府はそれを防ぐために「外国人労働者に対する更なる優遇策」を検討中のようです。

 今は「円安」による物価高(インフレではない)なので、国民の可処分所得を増やすのが最善策なのですが、日本人には一時的な給付金で誤魔化し、外国人労働者に対しては継続的な補助金や所得税減免などを制度化するようです。

 外国人の可処分所得が増えても、自国への仕送り額が増えるだけなので、日本経済にはマイナス効果しかありません。




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