「大嘗祭は宗教色が強いので、公費支出するべきではない。」と言うヒトがいます。
「大嘗祭」は、天皇が即位の礼の後、初めて行う新嘗祭のことです。新嘗祭は天皇による収穫祭のことで、天皇が五穀の新穀を天神地祇に勧め、その年の収穫に感謝し,翌年の豊穣を祈願する古くからの祭儀です。「新嘗祭」は天皇の「公的行為」であって、「私的行為」でも「国事行為」でも有りません。
天皇の「国事行為」の場合には、内閣の助言と承認が必要になり、その責任は内閣が負い、最悪の場合は出来なくなる恐れが有ります。
憲法第三条
天皇の国事に関するすべての行為には、内閣の助言と承認を必要とし、内閣が、その責任を負ふ。
天皇の「私的行為」の場合には、その為の予算措置は出来ません。 天皇の「公的行為」の場合には、行幸などと同様に公費支出が可能となります。
国立千鳥ヶ淵戦没者墓苑はその名の通り国立であり、国の税金が投入されていて、政教分離の原則により特定の宗教宗派に属さない施設とされています。 毎年終戦の日には、厚生労働省によって戦没者を慰霊する拝礼式が行われ、皇族や内閣総理大臣などが参列するのが恒例となっています。 「特定の宗教宗派に属さない」と説明している事からも、これは、公的に「宗教的施設」と認めている事になります。「宗教的施設」でないのなら、宗教に関する説明は不要な筈です。例えば「この図書館は特定の宗教宗派に属さない。」等と言うはずも有りません。
神や仏に祈ったり、感謝したり、祈願する事は「宗教行為」ではなくても「宗教的活動」であり、公務員が公務中に「黙祷」する事も憲法違反になります。
憲法第二十条第3項
国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。
「大嘗祭」の公費支出を否定するのなら、「戦没者墓苑」への公費支出も否定する事になり、極めて政治的な発言になります。次の「皇嗣」となる立場の皇族の「政治的発言」自体が、憲法違反になる可能性を含んでいます。
但し、「憲法(歴史的慣習法)」は憲法典(明治憲法など)や憲法律(憲法解釈法など)の上に在ります。
憲法(いつくしきのり):十七条憲法(日本独自の道徳規範) 。
憲法典(Constitution):明治憲法(欧米に合わせた憲法典) 。
憲法律(constitutional law):昭和憲法(単なる占領統治法)。
上の「憲法違反」と書いた部分は、正確には「昭和憲法律違反」の事で、「憲法」に違反している訳ではありません。
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