「憲法」 と 「コンスティテューション」

　「Constitute」は日本語で「構成する。構成要素（要員）となる。制定する。特質とする。体質である。」等と訳すそうです。

　「Constitution」の場合は、上記の名詞形の意味以外に「憲法」が入り込んでいます。

　「United States Constitution」は「州連邦基本法」であり、アメリカ合衆国を構成する全州共通の基本法（連邦法）と言えます。

　「The united nations（戦勝国連合）」を中心に設立した「 United Nations（連合国）」を、日本は「国際連合（国連）」と意訳（誤訳？）したように、いつから「Constitution」が「憲法（典）」と翻訳されたのかが分からないのですが、ドイツの基本法は「Grundgesetz für die Bundesrepublik Deutschland（ドイツ連邦共和国基本法）」であり、日本語で言う「憲法」ではありません。

　多くの国の「基本法」は「Constitution」とされていて、これを日本語で「憲法」と訳している事から「憲法」と呼ばれているだけであり、その実態は「基本法」です。「基本法」は、「下位法」を制限する以外には、その実効性は有りません。つまり、「下位法」は「基本法」に反しないように定めなければならない、と云う事です。

　高校に通った事のない私の記憶によると、世界に唯一現存する「憲法」は推古天皇１２年（ユリウス暦604年）に「厩豐聰爾皇子（聖徳太子）」によって作られ施行された「憲法」のみで、これは「コンスティテューション」ではありません。

　「憲法」とは「憲（役人）」の心得であり、その解説書が有ったとしても、「下位法」は有りません。全部で五つあり、

①　通蒙憲法（全ての人に通じる教え）
②　政家憲法（政治家に向けた教え）
③　儒士憲法（儒教を学ぶ者への教え）
④　神職憲法（神職の者に向けた教え）
⑤　釈氏憲法（僧侶と仏教を学ぶ者への教え）

で、其々十七ヶ条あり、①の「通蒙憲法（つうもうけんぽう）」が有名な「聖徳太子の十七条憲法」らしいです。

　②は役人（政治家）に対する、③④⑤は三法（儒教・神道・仏教）の道に就くものに対する教えです。神道は、当時は「神道」とは言っていなかったそうですが、開祖も教えも無いので「神教」とは書きません。憲法は、「教え」とは言っても「宗教の教え」ではなく、「宗教家を目指す人への教え（心得）」なので、現在の「政教分離」の原則にも反しません。

　この「憲法（教え）」は、改正や廃止などをされた事が無いとされているので、１４００年以上経過した今でも有効な「教え」です。

　何やら「日本国憲法（通称、昭和憲法）」と呼ばれる、「憲法」では無い占領統治法が改正されようとしていますが、先ずは「日本国憲法」の名称を、正しく「日本国基本法」とするのが先だと思います。「憲法」を「憲法もどき」で上書きしたつもりのままでは、ちょっと何言ってるか分からないです。

　日本の「憲法」は、「十七条の五憲法」しかありません。当然、西欧の基本法を真似て作った「大日本帝国憲法（通称、明治憲法）」も「大日本帝国基本法」であり、「憲法」には値しません。

　あくまでも「憲法」は、その道に進む人への「教え」であり、国家を支配・統治する為の道具ではありません。