退院から10日後、抜糸のため、初めて外来で病院に行く。
正面玄関から入るのは初めて。
大きな病院に改めて驚く。
受付機を教えてもらいながら操作し、形成外科を探す。
抜糸は、パチンパチンと済む。
先生はいつも優しい。
お会いできるとホッとする。
痛みや心配事で、眠れない日々だった。顔を上に向けているので寝返りもうてない。
毎朝、目覚める度に、顔に重石をのせられているようで、こわばり動かず、事故にあったことを思い出させられる。こわばっている口元を、モゴモゴと動かして馴染ませる。
人に会う気持ちになれなくて、お見舞いも、全てお断りしていた。
退院6日目の明け方、夢を見ていた。夢の中で、私はケガをしていなくて、普通に何でもできた。楽しくて、すごく笑っていた。大丈夫じゃん!
そう思っているときに、目が覚めた。
ケガをしている方が、現実だった。朝日の中で、久しぶりに泣いた。
でも、そんな日に、たまたまつけたラジオ番組に、線路への落下事故で手と足を失ったというYouTuberがゲストで出演していた。若い、とても明るくて、元気な方だった。
音楽番組なのに、異例のゲストにびっくり。比較にならないくらい大変な思いをされた方が、明るく活躍されている。
タイミングにびっくり。こんな嘘みたいな巡り合わせが、現実に起きるんだ・・・。
暗い底だけど。