10年前、ロンドンの王室が管理する薔薇庭園を歩いている時だった。たしか、エリザベス女王の在位60年を記念する祝賀パレードが始まるからとの情報で、バッキンガム宮殿へ急いだことがある。やがて、色鮮やかな衣裳と帽子が印象的なエリザベス女王が馬車に乗り込むのを、私たち旅行者は宮殿のフェンス越しに眺めた。 2台目の馬車には女性二人が乗り込んだ。一人はウィリアム王子と結婚されたキャサリン妃。もう一人は誰だろうと思い、宿泊していたホテルのテレビニュースで確認したら、カミラ夫人だった。カミラ夫人と結婚されたチャールズ王子は今後、国王として、女王の後を継ぐ。エリザベス女王の棺を運んだ車がガラス張りなのは女王のアイデアだという。布にくるまれた棺の上に置かれた白い花飾りにも心惹かれて、ふと思い起こした遠い日の記憶。