葬儀場からの依頼は陳列した花の間に飾る父の写真である。父の誕生日を祝うため、早川漁港で撮った夫婦の写真を所定のサイズに引き伸ばしてもらうことにした。その他にも、会場に流す父の写真を10数枚、用意してほしいと依頼され、古いアルバムを引っ張りだした。さらに、父のお棺に入れる記念の品はどれにしようかと迷い、結局、父が大好きだった帽子を選んだ。
父の通夜と告別式はメモリードの小さな部屋を白やピンクの花で飾ってもらい、こぢんまりと行うことにした。参列者への父からのお礼の品は何にしようか迷い、娘と相談のうえ、父が大好きだったパスタに決めた。夕方、仕事を終えた息子が来訪、押し入れから引っ張り出した古いアルバムに見入り、いくつか写真を選んだ。週末の通夜と告別式にさきだち、明日は集めた父の写真を葬儀場へ届ける予定である。当日、父が歩んだ長い日々の一端が会場に流されるそうだ。
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