そうした娘の憧れを引き受けてくれたのは、娘の優しい配偶者である。多忙な仕事を抱えながら、羽織袴に着替えて、鞄からとりだした携帯パソコンで仕事をかたづけていた。そのアンバランスな対比は実に面白かった。撮影はまず、紅葉しはじめた公園へと車で案内された。次に、白無垢に着替えて、神明宮で神主からのお祓いを受けた。どちらの場でも、カメラマンの巧みな口さばきに導かれ、若い2人はさまざまな笑顔で撮影された。
若い2人の撮影に付き添ったのは2人の母親である。たまに、私たち2人も撮影の被写体になった。うちかけ姿の娘と頭と頭をゴッツンコさせて、手と手を重ねて~と娘の母親である私はちょっとだけふざけた心境で、たまの撮影を楽しんだ。平日だったせいか、太田黒公園も、神明宮もあまり人の気配はなく、木漏れ陽がそっと射しこむ絶好の撮影日和だった。長い撮影を終えてから、4人一緒にのんびり昼食を楽しんだ。
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