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子どもの日の朝、特急列車「わかしお」に乗り込んだ。東京駅で京葉線ホームに停まる特急に乗るには、とんでもなく長い距離を歩き、階段をどんどん降りなければならない。今回、特急列車の指定席をとっていなかったので、とにかく、プラットホームへと急いだ。途中で、朝食と昼食兼用の駅弁を買うつもりだったが、残念。買いそびれた。食事は妹が用意してくれたパンとドリンクとイカ燻製で代用。自由席は2車輛のみだったが、席は無事とれた。
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房総半島を走る車窓には、すでに田植えを終えた水田がひろがっていた。私たちは途中下車して、城野が眠るお墓を訪ねた。霊園を取り囲む山の木々のあいまに、紫色のウィスタリアが枝をひろげ、美しい。家々の庭に咲く藤とはまた違う野生の力強さがある。あちこちで、鶯が鳴いている。花を飾り、お線香を灯し、しばし、城野を想う。再び、外房を走る列車に乗って、海沿いの湯宿へ向かった。
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宿では、数種類の温泉に浸かり、魚づくしの料理を楽しんだ。帰りは旅荷物を宿から自宅へ直接、配送してもらい、身軽な恰好で、房総半島を巡る列車の旅を楽しむことにした。外房線や内房線と違い、いすみ鉄道や小湊鉄道に生まれて初めて乗車。いすみ鉄道の旧型車輛は電車オタクには気になる存在で、その通過を待つ人たちはカメラを手に、線路脇にたたずむのを車窓に見た。駅では、カメラを手にした人々も見かけた。千葉の房総半島をトロトロ走る列車の旅をの~んびり愉しんだ。
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写真は駅弁がわりの食品と
房総半島にひろがる田んぼ
いすみ鉄道沿線の川を渡る
鯉のぼりといすみ鉄道線路