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松原の陶訣H房「おいしい器」に着くと、まもなく、保育園の子どもたちが列を組んでやって来た。ハロウィーン祭りである。工房の講師が用意した籠に盛ったお菓子を子どもたちに配ってゆく。どの子もにっこり、ありがとうと受け取るけれど、一人だけ泣いている子がいた。お菓子なんか、いらないという。気がつけば、「おいしい器」の講師夫妻の息子(2歳)だった。無理もない。せっかく、自分の工房で、自分の親たちに出会いながら、抱きしめてももらえないんだもの。ちょっと可哀相。でも、なんとなく事情を悟ったのか、お菓子をもらい、他の子どもたちと一緒に、他のお家へお菓子をもらいに行った。
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子どもたちが去った後、白い御影土を買って、楕円形の器を作陶した。以前にも体験したことだけど、制作の過程で、器はどんどんねじれてゆく。講師は2人とも、楕円の器はどうしてもねじれるものなのよと、笑っている。 いやになっちゃうなあと思いながら、奈落の底にドボドボと沈んでいく気がする。適当なところで、形を掌で整えて、作陶を終えた。
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秋の気配濃厚。されど、朝顔満開。