村上春樹で一番好きな話はどれと聞かれたら、ほとんどの人が「ノルウェイの森」と答えるのでしょうね。
ノルウェイの森が出版された当初にこの小説を読んで、それ以来、すっかり村上ワールドにどっぷりはまっている僕がいうのもなんですが、確かにこの「ノルウェイの森」はすばらしいストーリーだと思います。実際、既に日本語と英語の両方を合わせて10回以上は読んでいます。
だけど、僕の一番好きな村上春樹の小説は「国境の南、太陽の西」です。正直、めちゃくちゃ暗い話です。この話の主人公は、自ら意識してではないのに、いつも結果的に人を傷つけてしまい、その結果、自分も傷ついている。一番大きな過ちは、中学になったときに自らが傷つくことを恐れて島本のところへ行くことをやめてしまったこと。そのことが主人公の人生に大きな影響を与えてしまっていると思いました。誰にでも似たような経験はあるのではないでしょうか? そういう後悔の気持ちを上手に描いた小説だと思います。
ラストもすばらしいと思います。最後に肩に手を置いたのは奥さんなのか、それとも、彼は実はもう生きていないのではないか? とても考えさせられるラストでした。
まだこの「国境の南、太陽の西」を読んだことがないかたは、ぜひ、読んでみてください。まずは日本語で最低2回は読まないと良さは分からないと思います。その後、英語版にチャレンジしてみてはいかがでしょうか? 英語もそれほど難しくもないので、日本語で全体のストーリーを把握していれば、すらっと読み進むことができます。
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国境の南、太陽の西 (講談社文庫) |
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