寄り道フィッシング、釣りと自然を語る

釣りや自然を気ままに語ります。

線と点の釣り、ミャク釣りの極意とは

2021-10-28 20:39:00 | 日記
私は渓流釣りでは振り出し竿に目印と掛け針、餌を使った“ミャク釣り”を専ら行っています。基本的に釣具屋でぶどう虫を買って行くのですが、餌釣りの醍醐味は何より現地で捕まえたカゲロウやバッタなんかを使って渓魚を釣ることが至高の楽しみでもあります。その理由はミャク釣りという釣法の根源が“餌を自然に流し自然の渓魚を誘う”という正に自然と調和した原点的たる釣法であることだからだと思います。
渓流釣りに初めて触れてから約20年程経ちますが、経験を積んでいくうちに今まで見えなかったものが見えてくるようになります。初心者の頃は「流心ってなんだ?川の流れのどこが流心なんだ?」と何も分からず、ただ漠然と仕掛けを打ち込んでいたものですが、長年の経験と共に岩魚の好む場所、山女魚の好む場所、そこに仕掛けを打ち込めばこの様に仕掛けは流れてくれる、などを一目で分かるようになりました。

渓流の流れは単純に下流へ一方向に流れているわけではなく、流れと流れがぶつかり合って渦を巻いていたり、流心の傍に緩慢な流れがあったりと複雑であり川の流れの中に更に無数の流れがあります。私はその一つ一つの流れを“流れの線(すじ)”と呼んでいます。
ミャク釣りではこの流れの線に上手く仕掛けを流すことが重要となりますが、流れの線に上手く乗らないと仕掛けが吹き上がってしまったりして魚は見向きをしてくれず、餌釣りといえど意外とシビアな釣りです。流れの線から外れた場所に散々仕掛けを打ち込んでしまえば魚は警戒してしまい、その後流れの線に上手く打ち込むことが出来ても後の祭りで魚は釣れてくれないのです。
とにかく流れの線を見極め、点をつくことが渓流ミャク釣りの極意であると私は考えています。

偉そうに語っていますが私は一つのポイントで流れの線を三分の一程度しか見極めることが出来ませんし正確に点をつく(ピンポイントに魚の着いている線に仕掛けを打ち込む)ことも中々出来ません(笑)。おそらく老練の釣り師であれば一瞬で全ての線を見極めることが出来るのだと思います。

タイトルの“線と点の釣り”とは、魚の付いている流れの線にピンポイントで正確に打ち込むことを点、打ち込んだ仕掛けを流れに任せて漂わせることを線と、これも私が勝手に言っているわけですが、今回私が語ったことは渓流釣りにおいては一部分でしかなく、たかだか20年程度の経験など渓流釣りの奥深さのほんの一端に触れた程度なのだとしみじみと思っております。

積雪と釣果の因果関係

2021-10-02 03:45:00 | 日記
今季の渓流釣りは本当によく釣れました。それに比べて去年はとても渋かった。
渓流釣りの釣果に関して一つ、積雪量が関係あると私は考えています。

一昨年の冬から去年にかけて近年稀に見る暖冬でほとんど降雪がなく、私の住んでいる地域では平地での積雪はほぼありませんでした。しかし去年の暮から今年にかけては大雪の年となりました。



     今年1月の積雪の様子

釣果に関しては釣り人の多く入る場所と人がほとんど入らない場所、夏場でも水量が豊富な川と夏場は沢枯れする川、など場所や状況により色々と左右される部分もあるかと思いますが、積雪と釣果の因果関係は数ある関係性の中の一考察としてご覧頂ければと思います。

先述した通り今年の大雪に比例した感じで釣果も良好であり今季の渓流釣りはまさに豊年でした。渓流釣りの解禁日は多くの地域で3月1日からとなります。春先になり日が昇ると積雪は徐々に溶けて山の腐葉土を押し流し川に注がれます。この腐葉土の中には多くの生物がいるわけで、微生物や幼虫、昆虫からミミズなど様々です。この融雪混じりの濁った川の流れは雪代(ゆきしろ)と呼ばれ、釣り人にとって渓流釣り幕開けの合図となります。
餌に乏しい冬場は川に住む生き物達にとって食糧難ですが、この雪代が山から栄養を運んでくれるわけです。




      雪代が流れる渓流

ではなぜ降雪量が多い年は豊漁となるのか?ですが、単純な話で川に継続的に栄養が供給されるからです。高山であれば山頂付近は7月頃まで残雪を見ることができます。つまり7月頃まで絶えず微生物や幼虫などの食料が山から川へ流れてくるわけです。そのため水生昆虫や魚達は豊富な食料により繁栄していくことができます。逆に降雪量が少ないと山から供給される栄養は消雪と共にストップされてしまいます。そのため有翅昆虫が盛んに飛び交う6月頃まで食糧難により魚達は採餌に弊害が出てしまいます。同様に魚達の餌となる水生昆虫も供給される微生物が少なければ繁栄叶わず成育数を減らしてしまいます。カワゲラやヘビトンボなど渓流に住む多くの水生昆虫は羽化するわけですが、幼生の数が少なければ必然的に成虫も少なくなります。つまり雪代が止んでようやく渓流釣りの最盛期となる6月頃になっても積雪の多い年に比べて積雪の少ない年は釣果が振るわないというわけです。

・・・というのが私の考察なわけですが、実際は釣りの腕の問題というだけかもしれませんけどね(笑)
しかし、なぜこんなに釣れないのか?なぜこんなに釣れたのか?それぞれに自分なりに理由づけすることもまた釣りの醍醐味だと思います。