「低Na血症は慎重に補正しましょう」と言われて久しいですが、本当に補正速度がODSの原因なのかいまいちハッキリしません。
— 手を洗う救急医Taka (@mph_for_doctors) May 17, 2023
今回🇺🇸の大規模データベースを使い「補正速度が遅いとICU入室期間は長いが、神経合併症は差がない」ことを示しました。
MITとのコラボ研究です。https://t.co/wbE3EtvPVt
なんか飛んできたので解説します。
— 手を洗う救急医Taka (@mph_for_doctors) May 18, 2023
この研究で私が語りたかったことは、「確定論的なODSの発生には異常に敏感なのに、ICU入室が伸びることによって確率論的に起こる様々な合併症を無視してませんか」ってことです。
後者は一所懸命ICU管理したら避けられると思ってない?https://t.co/h5W1i3McpS
論文自体の話をすると、ICU-LOSやLOSは信頼がおけるし、交絡因子として考えられるものはそこそこ調整してます。
— 手を洗う救急医Taka (@mph_for_doctors) May 18, 2023
が、ODSの発生をICDに頼ってるところが一番の弱点です。
ODSのコードそのものは一例もなく、意識障害が出るほどのODSならcomaとかのコードが付くだろうという仮定の元解析しています。
とはいえそもそもICDコードは保険償還が主な目的なので、特別な治療をしなければコードがつかないかも知れません。
— 手を洗う救急医Taka (@mph_for_doctors) May 18, 2023
まあここは後方視的なデータベース研究の限界なので、この研究で「8mEq/L/day超えてもODSのリスクが上がらない」というのは明らかに言い過ぎです。
一方で、「8mEq/L/dayを超えた方が早く退室できる」は確実かと思います。当たり前です。100の次の日が104の人と、112の人をイメージしてください。後者は何もなければその翌日ぐらいにICUから出しても良いでしょう。
— 手を洗う救急医Taka (@mph_for_doctors) May 18, 2023
じゃあ、どうしますか?という話。
あといくつか挙げておくと
— 手を洗う救急医Taka (@mph_for_doctors) May 18, 2023
・交絡因子が多い分モデルの誤設定のリスクが高い
→IPWとg-formulaのモデルにかけ算項を入れて割とフレキシブルにしてます
・より重症例では話がちがうのでは?
→ODSハイリスクに限定しても方向性は一緒でした
・急性と慢性分けてない?
→実臨床でもわからんやろがい
個人的にはsNaが100ぐらいの人が来た時に、血ガスと一緒に尿中Na+Kを1時間おきに測って、輸液の濃度と速度を調整するみたいなことは、技術としてできる必要はありますが、結果が一緒ならやめた方が良いと思ってます。リュウジのバズレシピが人参の皮剥かない、鶏肉の筋取らないのと一緒です。以上。
— 手を洗う救急医Taka (@mph_for_doctors) May 18, 2023
100の次の日が112でも翌日退室は流石に速いな。ちょっと適当に書きすぎました。130ぐらい超えて大丈夫ならもういいんじゃね?とは思います。
— 手を洗う救急医Taka (@mph_for_doctors) May 18, 2023
お、補正速度適当でいいのか??(読んでない
— どっぺるSAAAAANNNN!!! (@doppel_surg) May 17, 2023
Effects of correction rate for severe hyponatremia in the intensive care unit on patient outcomeshttps://t.co/UMictuMO8y
重度の低ナトリウム血症の迅速な補正(>8 mEq/L/日)は最初の24時間内に入院中の死亡率が低く,ICU非入室日数と非入院日数が長いことと関連していおり,神経学的合併症の増加はみられなかった.1024例後ろ向きコホート研究(J Crit Care 2023;77:154325)https://t.co/ZB3zky5XGe
— EARLの医学ツイート (@EARL_med_tw) May 18, 2023