消えた監査印事件

木曜日に膨大な薬歴の入力も終わり、帰り間際に監査印を引き出しに入れようとあるべき位置を見ると、忽然と姿を消していた。


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結構大きいものなので、目立つはずなんだけど、どこを探してもない、ない、ない～っ❗

もしかして棚の裏側のすき間に落ちた？

キョロキョロ何度もあちこち見てみたけどない。

もう7時過ぎてるのにいつまでも帰らないと主任がキレるから早くしなきゃ。

焦れば焦るほどみつからない。
あるのは他の人の監査印のみ。

あきらめて帰るしかないか。
もしかしたら棚の裏側から出てくるかもしれないし。

金曜日はお休みの日なんだけど、監査印のことが頭から離れない。

どこに行ったんだあ？

「神様仏様、私の監査印が無事にみつかりますように。」とお祈りしてみるが、皆目検討つかない。

よし、明日監査台の上にいつも通りあれば現状維持で今の仕事を続ける。
もしも下に落ちていたのなら監査印さんも身を投げたいほどだから転職する。

もはや方向性すら定まらない。

気になって気になって…。

でも寝ないといけないから酒かっくらって寝た。

夢の中で、
「監査印をなくした？おまえは薬剤師としての自覚が足りないと常日頃から感じてはいたが、そうか。やっぱりな。」とブレイン君が言うと、

「全くもうっ。タメ口でしゃべるし、監査ザルだし、薬歴遅いし意味不明。」と、ブレインさんも言う。

いつもの豪華ステレオ放送だ。

みんな遠巻きにして「かわいそうに。まただわ。」とヒソヒソと話してる。

棚の裏を探させてくださいと言い出しにくくて…。

と、そこで目が覚めた。

仕事に行きたくない。
が、しかし、患者様(←こう呼ばないとブレインさんがヒステリックに怒る。)には罪はない。

とにかくフレンドリーなのは許されない。

仕方ないから土曜日にいつもより早く出勤して着替えて捜索することにした。

家から持ってきた秘密兵器の30センチの物差しと懐中電灯を手に調剤室へ。

「おはようございます。」いつも通り入り口で立ち止まりご挨拶。
時差出勤なので皆さんお取り込み中なのはわかっているけど、遅番さんも「おはようございます。」と挨拶するしきたり。

顔をあげるといつもの風景。
そしていつもの位置に夜間さんの分と並べられてる私の監査印。

「あった❗よかった～♪」と思わず叫ぶ。
ブレイン君が不思議そうに私をチラッとみて、すぐに元の視線に戻る。

やったー❗よかった～♪

喜んだのもつかの間。

まてよ、定位置にあったってことは、任務を全うしなさいという神のお告げ？

急に元気が出て、バリバリ働く。

ところが、夕方近くに、

「薬歴入力だけで午後まるまる費やすってありえない。どれだけ薬歴入力に時間をかけてるのっ❗」とブレインさん。

おばちゃん(←固有名詞)には優しくお疲れさまと言ったのに、状況を見もしないで(午後は会議等でいなかった)仁王立ちで言い放つ。

風邪やインフルが流行っていて午後休診にも関わらず処方箋が流れてくる。
他の人は16時半上がりなので「あ、私がみるからいいよ。」と配慮してあげた。

見もしないで怒るのはやめてくれ。
いつもいつも犯人扱いだ。

もう嫌だ❗
心底そう思った。

今に始まったことではないけれど、

不平等な扱いとパワハラまがいの発言の数々。

期待通りにできない私が悪いのかもしれないけど、

滅多ざしに刺してやりたいほどの殺意がわく。

精神衛生上よくないのを我慢して現状維持なのか、無謀にも知らない世界に飛び込むのかは自分次第。

迷い迷ってモヤモヤするから朝から映画。
前回は「バイオハザード」、今回は「死にたがる12人のこどもたち」。

大切なものを見直したかったんだ。

とりあえず余韻にひたりながら出来事を書いてみた。

みつかった監査印をなでなでし、もうなくさないからね、と誓った。

(ていうか、誰かが間違えて持っていった、が正解。休みの日のうちにこっそり返したのかそれとも月曜日に謝ってくれるのか…。どうでもいいけどもうハプニングはこりごりだ。)

さて、どうするか。

急いては事を仕損じる。