いいんだか悪いんだか

転職への準備は着々と進み、気持ちはどんどんドラッグストアへと傾いて行くなか、突如自宅から徒歩圏内の大手ドラッグストア系列の調剤薬局からオファーが来た。

これからのことを考えると徒歩圏内はありがたい話だ。

が、しかし、調剤薬局では今と大差ない。
なんのために転職するのかわからない。

かしこまってしゃべれば大袈裟だと言われ、気さくに話しかければタメ口扱いされてすごい勢いで否定される。

確かに相手に対して敬意を表すのは大事だけど、相手がフレンドリーに話しかけてきたのに「ですます調」は杓子定規過ぎやしないか？

他にも疑問が次々わいてくる。
でも私には発言権もなければ何を言っても聞いてはもらえない。
小さくなって周りに気を使いながら生きていくことに疲れてしまった。

ここはどこ？
私は誰？

自分を見失うほどの目力(めぢから)。
メドゥサに見つめられたように石のように硬くなる。

今までよく耐えてきたと思う。
心の壺に押し込めた気持ちはとっくの昔にふたが閉まらないほどになっていてそれでも押し込んで押し込んで押し込んで…。
何度も何度もふたが飛んでは元に戻して来たけれど、

ふたがぶっ飛んで粉々に砕けちってしまった感じかな。

総務担当には辞めたい旨を話した。

もしも今、薬局長や主任が、
「どうしたの？何があったの？」
と、聞いたとしたら、不平不満が次から次へとあふれ出てしまうから、
毎日外来が混雑していてよかったかも。
今さら不平不満を並べたところで何も変わらないのだから。
病院勤務時代に正義感が強い人が婦長に正当論をぶつけては去って行った。

辞めたい旨を話すのは間際になってからでは申し訳ないので、タイミングを見てちゃんと話さないとね。

「君やおばちゃん(←固有名詞)がいつまでも居座ってるから有能な6年制卒の薬剤師が雇えないじゃないか。」と、ブレイン君が言ったので、辞めます。これで有能な薬剤師が雇えますし。

そう言えたらスッキリするのになあ。

何でこうなるの(←萩本欽一風に)

いつまでも埒(らち)が明かない堂々巡りを繰り返すよりも、いっそのこと負のループを絶ちきるのもアリかもしれない。

還暦とは。

いろいろな解釈があるみたいだけど、人生の節目であることには変わりはないから、人生を見つめ直し、ここから先の人生は自分自身のために生きてもよいのではないだろうか。

思い通りにいくわけはないけれど、やらずに後悔するよりチャレンジしてみたほうが新しい楽しみがみつかる可能性があるから、

Let's go❗

還暦薬剤師だから足手まといという概念を変えてやるっ❗

「意気込みだけは立派だけど、面接落ちたらどうするん？現状維持で妥協できへんの？」と息子。

「先のことを考えていたらキリがない。老い先短いのだからラストチャンス。やってみてダメならマツキヨの調剤薬局受けてみてそれでもだめなら残留決定だね。生きた心地しないけどね。」

もしも友との約束がなかったらここまで続けられただろうか？
いや、とっくにリタイアしていただろう。
それほどパワハラがひどいのだ。
お気に入りにはとても優しいのにね。

世俗的な戯言には惑わされないと決めたのに、無理だった…。

過ぎ去った日々を振り返るよりも今後の将来を明るくしたいから、好きなことをやるために努力を重ねていきたい。

ブレイン君がいなかったらなんとなく毎日を過ごし、そのまま引退の年齢を迎えたのかもしれないし、刺激がなくて飽きてしまい辞めていたかもしれないので、

よかったんだか悪かったんだか。

でも、ひとつだけ確かなことは、ブレイン君だけがどうすればスピーディーに正確な監査ができるのかをきちんと教えたくれた。それだけは感謝しないとね。