うーん。そうじゃない。

石原さとみ大好きなのにィ。

アンサングシンデレラのドラマ見ました？

原作はああじゃない。

葵みどりは新人で、薬剤師として自問自答しながら成長してゆくのに、

もはや「アンサング(讃えられない)」を逸脱して、薬剤師はすごいぞ的アピールし過ぎ。

アンサングヒーローとは「縁の下の力持ち」。

病院には様々は職種の人がいて、花形は医師と看護師で、サポート的な役割はレントゲン技師とか臨床検査技師とか理学療法士とか臨床工学士とか栄養士などなど。そして助手的役割を担うたくさんの人々がいて成り立ってる。

掃除とかベッドメイクとかも重要な仕事なんだよね。

みんなの働きをお金に変えるのが医療事務の仕事。

レセプトと呼ばれる複雑な請求業務をこなして会計と保険請求をしてくれるからこそお給料がもらえるわけで。

じゃあ薬剤師の立ち位置は？

薬剤師法第1章第１条に記されているように、学んだ知識を生かして国民に寄与しないとならないのだ。

それは公務員と同じで、手柄を誉められることを期待したりしてはならず、与えられた任務を遂行し、医療チームの一員として患者のために献身的に尽くさないといけないってこと。

昭和大学憲章(生命倫理憲章)に唱われているように、人間の尊厳を損なうことなく分け隔てなく行われなければならないわけで…。

ひとりの患者に対して深入りしてしまうことは任務を逸脱しているわけだし、ドラマで見たから私もそうして欲しいとか思う人もいるだろうし、

フェンタニルとかロペラミドとか具体的な解説を入れてしまうと、広く知れわたり様々な弊害が起きるんじゃないかなーと。

薬剤師会の思惑でストーリーを変えたのだろうか？

ピッキング(薬を棚から必要な数とる作業)はいまや薬剤師の仕事ではなく、テクニシャンと呼ばれる助手の仕事で。

肝心な監査の場面とか服薬指導の場面とかカンファレンスの場面とかなくて、

うーん。

なんだか葵みどりの独壇場的な描かれ方がすごく嫌。

(もともとアンサングシンデレラ自体が好きじゃないのもあるけど。だって病院薬剤師だけが薬剤師の仕事、って感じの漫画に思えて仕方ないから。)←個人的感想です。

薬剤師さんて、医師と患者や家族や介護者をつなぐ架け橋的立ち位置だと思うんだけどな。

主治医から難解な言葉で説明されてもちんぷんかんぷんだと思うんだ。

だからわかりやすく説明してあげたり、不安をかかえていたら話を聞いてあげたり。

来局間隔があいていなければちゃんと飲んでると思う薬剤師が多いけど、

むしろ間違いなく3ヶ月間きちんと飲み続けることの不自然さに疑問を抱くべきなんじゃないかな。

ポリファーマシー(多剤併用の問題)がようやくクローズアップされるようになったけれど、「変わりはないですね。お薬出しておきます。」の30秒診療がまだまだなくならないみたいで…。

薬剤師として信頼されたいのなら専門知識云々よりも、人間として成長しないといけないし、人の痛みがわからないといけないと思うんだ。

葵みどりみたいに気になる患者さんているんだけど、

個人情報保護法とか今はセキュリティ対策とかが騒がれるほど、他人には知られたくない人もたくさんいる。

病院ではそれぞれの持ち分があるわけだから、薬剤師は所詮薬剤師で、医者と肩を並べられるはずなどない。

でも、常日頃から真面目に誠実に働けばパートナーとして認めてもらえることもあるかもしれないかな。

薬学部で6年間学び、実務実習をクリアできたから一人前だ、と思う人もいるけど、

薬剤師の仕事は国家資格が必要な尊い仕事。

特権階級気取りとか、服薬指導と称して相手の都合とか事情とかを考えずにまくしたててるようではいつまでたっても存在価値は認められないんじゃないかな。

薬剤師って縁の下の力持ちだからあんなにカッコ良くないし、手品で誤魔化したりしないし、部長はテンパったりしないよ。

なんだか見ていてイライラしたりモヤモヤしたりする。

でも、石原さとみが好きだし田中圭も好きだから…。

お口直し感覚で「ハケンの品格」を見た。

「ハケンの品格」は良くできたドラマで、あるあるな問題を大前春子がバッサリ斬る。でも大前春子の優しさも描かれてる。

ドラマってハラハラしたりドキドキしたりはいいけれど、

モヤモヤするのはいただけない。

週刊誌に薬のネタが書かれたときのように、質問が来ちゃうかもね。

連休で助かったかも。