それから少し経ち。
皆村良人から名を改めた尾場寛一は、幼稚園に上がった。
だが、この児童はこの時から既に同世代の児童は元より周りの大人たちにとって
驚愕すべき結果を乱発していた。
例えば、英語の学習授業において基本はおろか、文字の読み書きは元より
外国人の先生とは日常会話もこなせるレベルを三ヶ月足らずでマスターし、
日本に輸入される外国製品の英語表記も読めるほどだった。
それだけでは飽き足らず、他にはフランス語をはじめ十二ヶ国語にも手を出し
それらをわずか数ヶ月でマスターし、街の外国人に親しげに話しかけ
彼らたちから大いに可愛がられたという。
身体的な事では、各種競争において常に同世代の同年組は元より年長組にすら
圧勝を重ね、喧嘩では近所のガキ大将がわずか十数えるほどで泣きべそかくほど
やられてしまい、もはや街では天才か?はたまた怪童か?と噂されるほどの子供になった。
小学校に上がってからも寛一の成長と大躍進ぶりは止まる事を知らなかった。
一年生になって最初の一学期にして常に成績は上位であり続け、
先生は元より上級生の如何なる質問に返答出来ぬ事は何ひとつ無かった。
しかも上は専門知識から下は下世話な雑学までと多岐多様である。
普通の人の感覚なら"我が国の我が街に非凡なる才能の子供現る"と歓迎すべきであろう。
ところが、である。周囲の多くは寛一のことを何かにつけ化け物扱いして毛嫌いする。
その原因は何故か?それは長年に亘る日本人社会がはぐくんだ国民性に由来する。
悲しいかな我が国日本の社会は、
「出る杭は打たれる」ということわざに見られるように、
自分より出来のいい者や、自分より境遇のいい者に対する妬みが著しいエゴイスト社会だ。
エゴイストは仕事もひっくるめて人生が自分より上手く行っている者が、面白くないし
他人の活躍ぶりがあまりにも不快で堪らない。
ましてや、惨めな境遇に位置する者であればあるほど
自分と対極に位置する立場の者への嫉妬と憎悪は余計に天井知らずになる。
寛一は思った。
最初は褒めてくれたのに、いつの間にか無視し始め、遂には嫌がらせをし出した。
これを非難し訴え出ても先生も周りの大人たちも取り合ってくれない。
それを訝って母親の加奈子にこの事を言ってみた。
加奈子としては、寛一があまりにも出来が良い子である事が彼らには面白くないからとしか説明できない。
いくら出来がいいといってもやはり寛一も小学校に上がり立ての幼い子供である。
寛一としては、他人の事を妬んで嫌がらせするだけの余裕と頭の良さがあるのなら
もっと勉強して、もっと世の中の役に立つ事をみんなで考えればいいのに何で
それをやろうとせず自分の気に入らない者を傷つけるしかやろうとしないのかと泣きながら憤る。
それを聞くにつけ、加奈子はただ目に涙を浮かべながら
寛一が受けてきた不条理を聞いてやるしか無かった。
皆村良人から名を改めた尾場寛一は、幼稚園に上がった。
だが、この児童はこの時から既に同世代の児童は元より周りの大人たちにとって
驚愕すべき結果を乱発していた。
例えば、英語の学習授業において基本はおろか、文字の読み書きは元より
外国人の先生とは日常会話もこなせるレベルを三ヶ月足らずでマスターし、
日本に輸入される外国製品の英語表記も読めるほどだった。
それだけでは飽き足らず、他にはフランス語をはじめ十二ヶ国語にも手を出し
それらをわずか数ヶ月でマスターし、街の外国人に親しげに話しかけ
彼らたちから大いに可愛がられたという。
身体的な事では、各種競争において常に同世代の同年組は元より年長組にすら
圧勝を重ね、喧嘩では近所のガキ大将がわずか十数えるほどで泣きべそかくほど
やられてしまい、もはや街では天才か?はたまた怪童か?と噂されるほどの子供になった。
小学校に上がってからも寛一の成長と大躍進ぶりは止まる事を知らなかった。
一年生になって最初の一学期にして常に成績は上位であり続け、
先生は元より上級生の如何なる質問に返答出来ぬ事は何ひとつ無かった。
しかも上は専門知識から下は下世話な雑学までと多岐多様である。
普通の人の感覚なら"我が国の我が街に非凡なる才能の子供現る"と歓迎すべきであろう。
ところが、である。周囲の多くは寛一のことを何かにつけ化け物扱いして毛嫌いする。
その原因は何故か?それは長年に亘る日本人社会がはぐくんだ国民性に由来する。
悲しいかな我が国日本の社会は、
「出る杭は打たれる」ということわざに見られるように、
自分より出来のいい者や、自分より境遇のいい者に対する妬みが著しいエゴイスト社会だ。
エゴイストは仕事もひっくるめて人生が自分より上手く行っている者が、面白くないし
他人の活躍ぶりがあまりにも不快で堪らない。
ましてや、惨めな境遇に位置する者であればあるほど
自分と対極に位置する立場の者への嫉妬と憎悪は余計に天井知らずになる。
寛一は思った。
最初は褒めてくれたのに、いつの間にか無視し始め、遂には嫌がらせをし出した。
これを非難し訴え出ても先生も周りの大人たちも取り合ってくれない。
それを訝って母親の加奈子にこの事を言ってみた。
加奈子としては、寛一があまりにも出来が良い子である事が彼らには面白くないからとしか説明できない。
いくら出来がいいといってもやはり寛一も小学校に上がり立ての幼い子供である。
寛一としては、他人の事を妬んで嫌がらせするだけの余裕と頭の良さがあるのなら
もっと勉強して、もっと世の中の役に立つ事をみんなで考えればいいのに何で
それをやろうとせず自分の気に入らない者を傷つけるしかやろうとしないのかと泣きながら憤る。
それを聞くにつけ、加奈子はただ目に涙を浮かべながら
寛一が受けてきた不条理を聞いてやるしか無かった。
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