それからも寛一は、相変わらず夏休みをそこそこ過ごしながらもバイトと
ネットトレードに入れあげる日々であった。
とある8月に入って少しの日の事だった。
バイトも休みだし、一学期の終業式に学校から出された宿題も
休みに入って早々に瞬殺の如く完了させたので暇が出来たので
家から出かけて、
街から大きく外た山間の人気の無い場所に行くと何やら廃墟と化した建物がある。
それをじっと見つめる。すると寛一の背後から、年上の女性が話しかける。
「君、ここの建物に何か用?」
振り向くとそこに、ネイビーブルーのジャンパーを羽織り
ライトグリーンのYシャツの裾を鳩尾で結び、ジーパンを内股の所でハサミで切ったかのような
裾になっている薄い青色のデニムのショートパンツを穿いていて、
長さが足首までしかない浅い茶色のブーツにカーキ色のソックスを履いているという
ウェーブのかかった長い髪の若い女が居た。
「お姉さんは、ココを何か知ってるの?」
寛一は質問して見る。
「そうね。少なくとも無関係じゃないわね。そういう君もココに何のなの?
関係ないのなら、立ち入らない方がいいわよ?」
そのお姉さんがそういう。
普通の者なら、ここで引き返しただろう。
だが、寛一は身体能力や器量の非凡さもそうだったが、思考や判断も凡人のような事をやっていては
他人に舐められるという価値観の人だ。"袖振り合うのも他生の縁"という考えに至ったのか
この廃墟となった、かつて何かの研究施設らしき建物の件でこのお姉さんと上手く話を合わせれば
自分の何かが判るかも知れないという考えに辿り着いたからだ。
すると早速、寛一はこのお姉さんにココの建物の件で誘いをかけてみようと考えた。
「いや、実はこの建物、このオレの生い立ちにとって何かのヒントになるんじゃないかと
思えるような気がしてならないんだ。」
「そうなの?この建物って、ジェネティックエンハンスメント(遺伝子強化法=遺伝子操作によって
ヒトの形質を変更・強化すること)において、親という隠語で呼ばれるクライアント(依頼者)の
需要に合わせて技術者のデザインした塩基配列(遺伝子型)どおりの形質(表現型)が
が胚の生育過程で発現出来るように、人工子宮装置を用いる事によって
従来のような胚が母胎からの余計な影響を受けやすく、能力が全体的に拡張性が低く
障害児・奇形児が生まれやすいナチュラル(自然分娩で生まれる従来型のヒューマノイド)に
取って代わる人間を研究していた施設なのよ?それと君が何か関係ってあるの?」
そうお姉さんが言うのに対し寛一はフッと笑い、こう呟いた。
「実はね、お姉さん。オレはこう見えても勉強でも運動でも学校の上級生すら問題にした事はないし
喧嘩でもスポーツの勝負でも負けた事は無いし、この前なんか街のみんなにさんざん
迷惑かけまくってきたオレより目上の歳が七十過ぎのオッサンが、喧嘩勝負で
このオレに負けたのを最後に、頭を丸めて坊主になっちまったほどだぜ?」
それを聞いて、思わず驚くお姉さん。
「何なら、このオレがウソついてないのを証明して見せようか?」
そう言って、寛一は足元にある石の中でも一番硬いと見た石を手に取り
軽く握り潰しにかかる。すると握力で砕かれた石は豆腐のように脆く崩れ地に落ちる。
「ありがとう。もういいわ。君がどれほどの子かよく判ったわ。」
お姉さんは唖然としながら答える。
「この施設を見て回るんだろ?なら一緒に行った方がいいよね?
自己紹介が遅れたね。オレ、尾場寛一。寛一でいいよ?」
寛一がそう答えるとお姉さんも自己紹介する。
「私も紹介するわ。私の名前は米津真琴。真琴さんでいいわ。」
お互いに自己紹介すると、二人はこの廃墟と化していた建物の中へと入って行った。
ネットトレードに入れあげる日々であった。
とある8月に入って少しの日の事だった。
バイトも休みだし、一学期の終業式に学校から出された宿題も
休みに入って早々に瞬殺の如く完了させたので暇が出来たので
家から出かけて、
街から大きく外た山間の人気の無い場所に行くと何やら廃墟と化した建物がある。
それをじっと見つめる。すると寛一の背後から、年上の女性が話しかける。
「君、ここの建物に何か用?」
振り向くとそこに、ネイビーブルーのジャンパーを羽織り
ライトグリーンのYシャツの裾を鳩尾で結び、ジーパンを内股の所でハサミで切ったかのような
裾になっている薄い青色のデニムのショートパンツを穿いていて、
長さが足首までしかない浅い茶色のブーツにカーキ色のソックスを履いているという
ウェーブのかかった長い髪の若い女が居た。
「お姉さんは、ココを何か知ってるの?」
寛一は質問して見る。
「そうね。少なくとも無関係じゃないわね。そういう君もココに何のなの?
関係ないのなら、立ち入らない方がいいわよ?」
そのお姉さんがそういう。
普通の者なら、ここで引き返しただろう。
だが、寛一は身体能力や器量の非凡さもそうだったが、思考や判断も凡人のような事をやっていては
他人に舐められるという価値観の人だ。"袖振り合うのも他生の縁"という考えに至ったのか
この廃墟となった、かつて何かの研究施設らしき建物の件でこのお姉さんと上手く話を合わせれば
自分の何かが判るかも知れないという考えに辿り着いたからだ。
すると早速、寛一はこのお姉さんにココの建物の件で誘いをかけてみようと考えた。
「いや、実はこの建物、このオレの生い立ちにとって何かのヒントになるんじゃないかと
思えるような気がしてならないんだ。」
「そうなの?この建物って、ジェネティックエンハンスメント(遺伝子強化法=遺伝子操作によって
ヒトの形質を変更・強化すること)において、親という隠語で呼ばれるクライアント(依頼者)の
需要に合わせて技術者のデザインした塩基配列(遺伝子型)どおりの形質(表現型)が
が胚の生育過程で発現出来るように、人工子宮装置を用いる事によって
従来のような胚が母胎からの余計な影響を受けやすく、能力が全体的に拡張性が低く
障害児・奇形児が生まれやすいナチュラル(自然分娩で生まれる従来型のヒューマノイド)に
取って代わる人間を研究していた施設なのよ?それと君が何か関係ってあるの?」
そうお姉さんが言うのに対し寛一はフッと笑い、こう呟いた。
「実はね、お姉さん。オレはこう見えても勉強でも運動でも学校の上級生すら問題にした事はないし
喧嘩でもスポーツの勝負でも負けた事は無いし、この前なんか街のみんなにさんざん
迷惑かけまくってきたオレより目上の歳が七十過ぎのオッサンが、喧嘩勝負で
このオレに負けたのを最後に、頭を丸めて坊主になっちまったほどだぜ?」
それを聞いて、思わず驚くお姉さん。
「何なら、このオレがウソついてないのを証明して見せようか?」
そう言って、寛一は足元にある石の中でも一番硬いと見た石を手に取り
軽く握り潰しにかかる。すると握力で砕かれた石は豆腐のように脆く崩れ地に落ちる。
「ありがとう。もういいわ。君がどれほどの子かよく判ったわ。」
お姉さんは唖然としながら答える。
「この施設を見て回るんだろ?なら一緒に行った方がいいよね?
自己紹介が遅れたね。オレ、尾場寛一。寛一でいいよ?」
寛一がそう答えるとお姉さんも自己紹介する。
「私も紹介するわ。私の名前は米津真琴。真琴さんでいいわ。」
お互いに自己紹介すると、二人はこの廃墟と化していた建物の中へと入って行った。
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