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タイガー理髪店心中

2020-02-08 | 読む

 

穏やかだった妻の目に殺意が兆し、夫はつかの間、妻の死を思う。


のどかな田舎町で変転する老夫婦の過去と行く末。


「これでお互いの老老介護が終わるのだな。楽になる。そうだ、楽になるのだ」


伸びやかでスリリングな視線、独自の土着性とユーモア。

老いた妻の発作的な豹変に戸惑う夫の緊張感を描き、


井上荒野氏、角田光代氏、川上未映子氏の選考委員諸氏に絶賛された

第4回林芙美子文学賞受賞の表題作。

 

以上はアマゾンよりお借りした内容紹介です。

 

 

いやー久々に小説らしい小説を堪能させて頂きました。

未来のない老夫婦のお話か・・自分の近い将来を見ているようで気が滅入るな・・

と思いつつ読み始めたところ、嬉しい予測はずれでした。

 

これをユーモアというのか紙一重のペーソスなのか、

額に入れてずっと見ていたいくらい愛しい妻なのに、

認知症が進み始めた妻を死ねばいいのにと一瞬思ってしまう夫。

 

このシーソーのように揺れ動く感情を、深刻ぶらずに

軽めに静かに描くことで、読み手にじわーっと沁みるものがあります。

 

後半、理髪店にやってきた見知らぬお客さんがきっかけで、

過去の「穴」を巡るお話になりますが、なかなかスリリングというか

サスペンス!?

なにせ「青い血」だもんね^^

 

いじめに使った穴が、息子の死に繋がってしまったなんて事

墓まで持っていきたい秘密でしょ。

 

ラスト、大好きな夫の名前、見合いで唯一気にいった「とらおさん」という名前さえ

忘れかけた妻が切ないですが、

年をとるということは、そういう事なんですよね。

 

背中がひんやりして読了。。ですが

もういちど読み返したい気分です。

 



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