偽りの春
2019-06-28 | 読む

あなたは5回、必ずだまされる。第71回日本推理作家協会賞受賞作!
高齢者詐欺グループのリーダー、光代は、
手足として使っていたはずの仲間に金を持ち逃げされてしまう。
さらに、彼女の過去の犯罪をネタに、一千万円を要求する脅迫状が届く。
追い詰められた彼女は、普段は考えない強引な方法で事態の打開を図るが、
成功したと思われたそのとき、1人の警察官が彼女に声を掛けてくる――。
「落としの狩野」と言われた刑事を主人公に、人々の一筋縄ではいかない情念を描く、
日本推理作家協会賞受賞作「偽りの春」収録、心を震わすミステリ短編集。
卓越した筆力で選考委員をうならせた、第71回日本推理作家協会賞(短編部門)受賞作・・
以上の内容紹介はいつもの事ながら、アマゾン様よりお借りしました^^
五回だまされるという事は、短篇五編が収められているわけで
この惹句はおおげさでなく、ほんとにコロリとやられますよ。
鮮やかです。
ムダな説明やセリフがなく、キリリと締まって気持いい。
お好みですが、個人的には表題作ではなく
一番目の「鎖された赤」が良かったです。
細部まで考えられていて全く破たんがなく
作中の手記は谷崎潤一郎の世界を思わせますね。
字体や文体に工夫がされていて、あ~そういやそうだ!と
種明かしでガッテン!
主人公の祖父、校長もしていたような教養ある人物ですが、
認知が進み老人福祉施設にいます。
この爺さんがとんでもないヤツだったのですが、最後、
例のカギをしまいこんでいた辺りは
少し哀しみさえ覚えてしまいました。
耽美という点では、芸大教授と教え子のお話もこれかなあ。。
また違うお話も読んでみたいと思う作家さんです^^
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