本2冊

「 残り火 」 小杉健治著
カバーの写真みたいに、ほんのり暖かいまるで床暖房か足湯にでも
入っているような読み味である。
痴漢の嫌疑をかけられ裁判で冤罪をはらしたものの、自殺してしまった息子の無念を
心に抱き続ける父親と
その弁護を手がけた熱血弁護士、彼も半年前に妻を亡くした傷心から
立ち直れずにいる。
そんな二人が女性連続殺人事件の罪をかぶせられた青年のために動きはじめる。
うーん。。この弁護士は渡辺ケンに演らせて、父親は三浦トモカズか。。無実の罪を
きせられた青年は相場マサキくん。。♪
などとゆる~り読んでると、最後で足湯に氷を投入された!
まったく想像だにしなかった人物が犯人だった。
毎日毎日ミステリーばっかり読んでるのなあ~ぬるい足元をすくわれました^^
「噂の女」 奥田英朗著
読んだ後、さわやかな風を感じる本や涙雨にくれる本、熱くなったハートをもてあます本
などいろいろあるけれど、これはどんより曇り空。
みんなでよってたかって「糸井美幸」という女性の噂をする。
学生時代はキャバクラでアルバイト、社長の愛人、今は県会議員の愛人、
元ダンナの不審死、弟はやくざもの・・・などなど。
噂話ほど責任のないいい加減なものもないがその分楽しい(笑)
でもそれは単なる噂で本当はいい子なんですよ~ではなく、バリバリの悪女なんだが
噂をする当人たちのせこせこした小ささに笑いながらもうんざりする。
せまい地方社会ならではの地縁血縁にがんじがらめの生活、
談合あり、ワイロあり、コネあり、それに刃向かうと何かと面倒なので
とりあえず長いものに巻かれていく毎日。
ここまで極端ではないけれど多かれ少なかれみんな感じてるものなので
これでもか!と列挙されるとやっぱりどんよりしてしまう。
最後のページ、
県会議員の裏金2億円をもって逃げた美幸に女性秘書が
いっそ天晴れ!と感じるところのラスト二行・・・
<同じ空の下に糸井美幸がいるのかと思ったら、なんだかおかしくなった。
初夏の太陽が、地上の小さな人間たちを挑発するかのように、強く照っていた。>
どんより曇り空が少し光って見えた。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます