Yuki Matsumotoのブログ

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7回目「おとなのけんか」(ロマン・ポランスキー)

2019-10-17 17:23:27 | 映画

11歳の少年が、同い年の少年と喧嘩して、棒で殴って怪我をさせてしまう。加害者の両親が被害者の両親の家に訪れ、お詫びをする。

で、事実確認が終わり、報告書(?)を書いて、無事、一件落着。もう一度、挨拶を交わして帰ろうとするところから、物語が始まる。

要するに、この映画は「一応、全て終わった」ところから始まるわけだ。

しかし、ここで本当に加害者夫婦が帰ってしまうと、映画そのものが終わってしまう。映画を続けるためには、話を引き伸ばさなければならない。この手のワンシチュエーション映画(そんな言葉があるのか定かでないが)は、いかにして登場人物を同じ場所に引き留めておくかがネックになる。脚本に工夫が必要なのだ。

「おとなのけんか」でいうと、加害者側の夫に頻繁に掛かってくる電話であったり、ハムスターであったり、被害者側の妻が作った焼き菓子(ゴブレだったかな?)であったりが「工夫」している部分だ。いずれも映画にちょっとしたスパイスを与えていて、また、さりがない伏線になっていたりする。

巧いな、と思った。

ただし、初見の観客に「ここ、工夫しているな」と気付かれるのは、あまり良くはないだろうとも思う。「工夫」などは裏を返せば映画自体の「都合のよさ」でもあるからだ。もちろん「都合のいい映画」を全否定しているわけではない。それを逆手にとって「都合のよさ」だらけの脚本も、面白いかもしれない。また、三谷幸喜の作品なども「都合のよさ」が沢山出てくるし、正直、食傷気味ではあるけれども、やはりあれだけ作品を量産できて老若男女誰が見ても、そこそこ面白い作品を作るのは、大したものだとも思う。自分如きが上から目線でごめんなさい。

それらと比べると本作は若干、見劣りするのも否めない。

個人的には、もう一つ見るべきポイントがあった。

中盤までは、当然「加害者の親VS被害者の親」という対立で進行していくのだが、その構図が次第に崩れ始め「男性VS女性」「夫VS妻」になったり、さらには、2対2ですらなくなり1対3になったり、、といった展開が面白く、ジョディ・フォスターがヒステリックに捲し立てる演技など、素晴らしかった。

以上



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