こうのとり

『ねえ、蓮司。私たちさ、付き合って間もない頃から営みをしてるのに、こうのとりさんはベビーを連れて来てくれないね。焦って来ちゃったわ』と少し切なく微笑みながら妻（法子）は言って来た。『そうだね。俺たち夫婦は毎晩のように営みをしてるのにね。でも、焦っちゃだめだよ。気長に営みに励もうよ』と俺は返した。冬の曇り空に覆われている土曜日の昼前である。