『ねえ、蓮司。きょうもまた艶歌を詠んだの。聞いてね。胸に散る栗の花の香初夏のよる私にくれたあなたの香り。どう?』と艶っぽく微笑みながら妻(法子)は訊ねる。『ほほう。きょうもまた艶っぽい一首だね。御返しの一首を俺も詠むね。愛情が満たされたとき迸る聖の飛沫で貴女を充たす。どうかな?』と俺は妻(法子)に返した。そして、俺たち夫婦の午後からの濃密な『秘儀』へと移ろってゆくのである。
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