月曜日の夜8時からNHKで放映している「鶴瓶の家族に乾杯!」は、私が好きな番組の一つである。数年前まではこの時間帯は「これが目にはいらぬか」のシーン見たさに「水戸黄門」ばかり見ていた。何かの拍子で家族に乾杯を見て、これは面白いと完全にはまって最近はほとんど欠かさず見ている。一つの地域の取材を2週に分けて前編、後編があり前編が面白ければ翌週が待ち遠しい。今週の永平寺地区での後半の一こまは、強烈に私の脳裏に刻まれた。それは永平寺中学の下校時の光景である。
下校する生徒は校門の白線で一旦御立ち止まり、振り返って校舎に向かって深々と礼をする。自転車通学の生徒も同様で自転車を降りて礼をする。鶴瓶が教頭先生にこのことを問えば、「ここは永平寺の影響で禅の心が教え込まれている」とのこと。教頭先生は「掃除の時間が素晴らしい、掃除を是非見て欲しかった」とおっしゃった。学校の掃除と言えば必ずサボル人間がいて、ペチャペチャしゃべるが定番のはず。それが全員モクモクと励みシーンとしているそうだ。信じがたいが今時こんな中学があるのか・・・。
一般の皆さんが目にする光景は、プロ野球、高校野球の選手がグランドを去るとき、帽子を取りグランドに向かい礼をする姿だろう。どのスポーツでもそうだが会場を去るときは、自分達が使用した施設に対し、有難うございましたの感謝の気持ちを込めて礼をする。生徒に本音を聞きたいものだ。最初はやらされていると思っていたかも知れないが、自然と身につけば心から礼をしていると思える。学校創立以来の伝統だそうだが、いつまでも続けて欲しい。永平寺中学の光景を異様と見る人間は、世の中には必ずいることだろう。しかし良い事にしろ悪い事にしろ、長年やっていれば体に染みつく。マナーの悪い人間が増えた昨今、身が清められた心境になった。永平寺中学の皆さんに拍手を送ろう。
この番組は8時45分までなので、終るやいなや「水戸黄門」にチャンネルを切り替える。するといつも最後のクライマックスシーンでワルをこらしめている最中だ。「もういいでしょう」の黄門さまの一声で、助さんは葵のご紋の印籠を取り出す。「一同静まれ!このご紋が目に入らぬか、このお方をどなたと心得る・・・・」このシーンを見るだけで満足する私はおかしいのだろうか。
7月23日(水曜日)の毎○新聞の”みんなの広場”に(香川県の主婦67歳)の投稿文が掲載されたが、思うことは皆同じのようだ。
[校舎に一礼する中学生に感動}
有名タレントが各地を訪れて人やモノを紹介するテレビ番組で、心を打たれるシーンに接しました。おれはある中学校の下校風景。生徒たちは校門まで来ると歩みを止めて向きを変え、校舎に向かって礼をしました。その日一日お世話になったお礼の意味が込められて行為だそうです。昨今は青少年をめぐる暗いニュースが多く、親を殺害したり、社会的弱者に暴力を加えたりといった事件が後を絶ちません。これらの背景の一つには、感謝や恩に報いるという考えが足りなくなくなっていることがあるのではないでしょうか。暮らしの中で、「ありがとう」「ごめんなさい」といった、当たり前の言葉を口にすることも少なくなってはいないでしょうか。生活に不自由がなくなり便利になったせいで、「できて当たり前」「やってもらって当然」という態度が目立つこのごろです。だからこそ、校舎に向かって礼をする生徒たちの姿がまぶしく見えました。