yuの興味アンテナ

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最近、読んでみた本の感想、第一弾!

2018-01-18 16:28:11 | 
 久々にアップします。デュ・モーリアの短編集を読んでみました。

表題は、「鳥」です。全部で八編。それぞれに違った味わいがあります。
 まず、「恋人」。映画館の案内嬢に恋をする青年の視点で描かれています。ラストで青年の恋が実るかどうかドキドキしながら、予想外の展開に引き込まれました。読後に考えたら、少し怖い話です。
 次に、表題作の「鳥」。鳥が急に凶暴化し、人を襲う話です。今度の短編はちょっと怖いどころか、かなり怖いです。主人公の男に襲いかかる鳥の描写は生々しく、この手の類が苦手な方は、想像は控えめに。ヒッチコック監督の映画の原作なのか!と初めて知りました。
 「写真家」。結婚生活に飽きている侯爵夫人が、彼女に恋する写真家の男とこっそり会って、刺激を求めます。しかし、写真家の男は侯爵夫人に真剣で、最後には、彼女についていこうとし……。サスペンス仕立てで、結末も「これから、どうなっちゃうの!?」と思いました。この短編集の中で、一番気に入ったかも…です。
 「モンテ・ヴェリタ」。宗教っぽさが絡んだ作品でした。登山を愛する「私」と友人ヴィクター。そのヴィクターが美しい妻アンナと結婚し、「モンテ・ヴェリタ」という山に登り――。神秘的な雰囲気をたっぷり味わった感ありです。
 「林檎の木」。これもある意味、怖かったです。林檎の木が、だんだん主人公の妻ミッジにみえてくるのは、作家の筆力なのでしょう。序盤に紹介されるミッジという女性、すごくマイナス思考?なんでしょうか。自分で不幸を引き寄せている気がします。
 「番」。題名通りです。読んでみれば、わかります。言うと、ネタバレ全部しちゃいそうなので、カットします。わたしは、騙されました。さて、あなたはどうでしょう?
 「裂けた時間」。ミセス・エリスという女性が、ある日外出から帰ってきたら、見知らぬ人が家に住んでいて――。その後、警察を呼ぶのですが、なぜかミセス・エリスという女性は住んでいないことになっています。ミセス・エリスは、話を誰にも信じてもらえず、しまいには精神病院に連れいていかれそうになります。読んでいるこちらにまで、彼女のパニック寸前の感情が伝わってきて、はらはらしました。最後に種明かしがあり、なるほどと納得です。
 「動機」。こちらは、今までの短編と違い、神秘的だったり、ホラーぽい雰囲気はないです。ミステリーの分野です。出産前の幸せ真っ盛りの女性がなぜ自殺したのか?ネタバレはしませんが、面白かったです。死因の調査を依頼された探偵の最後の心理描写がとても胸に響きました。
 以上、デュ・モーリア短編集の感想でした。