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たわ言、泣き言、独り言 時々新刊案内

オーロラの消えぬ間に

「オーロラの消えぬ間に 」(光瀬龍, 1984/06, ハヤカワ文庫-JA)


読了しました。良かった。初めて読んだころの読後感が32年ぶりに甦りました。
巨大な宇宙船を駆って銀河の星々を1人巡る女性主人公。
たどり着いた星々で彼女が巡り会うものは、宇宙に進出し、そして衰退していった人類の栄光の亡骸でした。


以下は連作短編である本書の各話の紹介です。

・遠い夕日
人間が残していった2つのコンピュータシステム同士が戦う星。それに巻き込まれる主人公たち……

・雨ぞ降る
雨期を迎えた星の開発基地。そこからの連絡が途絶した。主人公が調査を命じられるが……

・日没前に発進せよ
消息を絶った調査員の行動確認を命じられた主人公は、砂漠に孤立した集落を見つける……

・傷みの星
星の爆発によって発生した破片に撃たれた主人公は機能を停止する。医療センター主任医務官が治療にあたるが……

・宇宙飛行士(スペース・マン)ここに眠る
第二次大航海時代の終末期に人類がたどり着いた星。調査を命じられた主人公はロボットを使うが……

・船団異常なし
何度も不可解な事故を起こす巨大な宇宙輸送船。主人公が調査することになるが……

・月光小夜曲(ムーンライト・セレナーデ)
異星人を発見したと連絡してきた宇宙船。主人公が救援に向かうが……

・ガラスの島
宇宙基地の管理官がトラブルから調査員へと左遷される。その宇宙船に異常が発生し、主人公が救援に向かう……

・星への道
救援要請のあった植民都市に向かった主人公を待っていたものは……

・オーロラの消えぬ間に
半ば廃墟となり伝染病に汚染された都市。調査を命じられた主人公の過去と現在が交差する……


常に物語の背景に流れる無常観。ちらちらと垣間見える、本人ですら忘却している主人公の過去。彼女は人類の栄光と衰退の看取り人なのか……
著者独特の宇宙観を色濃く反映した本作は、文庫化されてから36年も経ちますが、今でも色褪せていません。
光瀬龍と言えば「喪われた都市の記録」も外せないのですが、わたしはこの「オーロラの消えぬ間に」が一番好きです。

この作品がなかったら、わたしは小説を書いたりしませんでした。
拙作「All Alone」シリーズは本作の影響を強く受けています。
「All Alone」シリーズはweb投稿サイトに初めて投稿した作品です(初出時は「ハンター」シリーズ)。
BLカテゴリーに分類されていますがBLに関心の無い方にも読んで頂けると幸いです。

※この記事は2020年7月22日に Twitter に投稿したつぶやきに加筆修正して再構成したものです。
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