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蝉の置土産

「蝉の置土産」(高村 芳, 2020/12, カクヨム)
https://kakuyomu.jp/works/1177354054935411992

読了しました。
蝉の頭をしたアクセサリー職人と、その弟子の女性が過ごす、短い夏の物語。
今回は「#RTした人の小説を読みに行く」企画による読書です。

夏になると工房にやってくる蝉頭の男性。
「私」は彼のことを「先生」と呼んでいた。
4年前、アクセサリー職人を目指してこの地にやってきた私は、先生に拾われた。
以来、毎年夏の7日間、私は先生とともに、この工房で過ごす。
今年もその7日間がやってきて……

静かな物語でした。
静かなだけに、主人公の感情の動きが痛いほどに伝わってきました。
最初はそうでもないのですが、物語が進むにつれ、主人公の思いつめた感情が、自然に、しかし痛いほど感じられました。

最初、この物語の導入部を読んだとき、外薗昌也先生が描く、きのこ人間のナサニエルが登場する漫画を連想しました。
なんとなく雰囲気が似ているなと思ったのです。
異形の存在が、自然に社会に溶け込んでいる。
(この物語では、必ずしも自然に溶け込んではいませんが)

「先生」が蝉頭であることは、物語にとって、とても重要な要素です。
それゆえの物語です。
ここまで書いてしまうと、落ちを予想できてしまう人もいるかも知れません。

面白かったです。
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