亀田興毅の試合をはじめてみた。
すごい人気だとは聞いてはいたが、これまで見る機会がなかった。
試合結果については、報道などで何かと話題にはなっているが、ボクシングの試合ではよくあることだし別に驚きもしなかった。
私の判定では、115対112で亀田の負けだ。
彼のボクシングは、これまでの報道とは裏腹に、かなり堅実なスタイルだという印象だった。
左右のガードを固めた覗き見スタイルで、攻撃のチャンスをうかがうというオーソドックスな戦法だ。
そのせいか、ボクシングの素材としては凡庸な感じを受けた。
ビックマウスぶりなどの、一般報道から受けた印象で、辰吉丈一郎のことを思い浮かべていたが、彼とはまったく違ったタイプのようだ。
辰吉は溢れんばかりの才能で、ノーガードでダッキング、スウェーで華麗に相手のパンチを潜り抜け、軽やかなフットワークでパンチを繰り出すさまは美しかった。
それに比べるとということである。
今回の試合も初回のダウンを挽回するために、守りを固め、手堅く攻めていった。
特に、ボディーへの攻撃はかなり有効だったように思う。
回は進み、一進一退の攻防を繰り返していたが、初回の2ポイントを挽回するほどの優勢には至っていいなかった。
最後の2ラウンドが勝負だと思ったとき、ファン・ランダエタは、中距離から正確なパンチを繰り出し、亀田の足は止まり、手が出なくなってしまった。
これでは勝てるわけがない。以上が、試合の印象だ。
亀田のボディー・ブローのダメージを重視するか、ファン・ランダエタのガードの上からとはいえ、繰り出したパンチの量を重視するかによって判定は変わる可能性はある。
判定については、いまだにマスコミの話題となっている。
そのなかで注目すべきは、具志堅用高の沈黙だ。
亀田に対する苦言をいち早く呈していた彼が、このような亀田が劣勢に置かれたときには口を閉ざしている。
人が明きらかに負い目を負ったときに、寄ってたかって批判を浴びせる世論のあり方を、日ごろ苦々しく思っているので、具志堅の態度には感服した。