中学校勤務を始めてから自分の中学校時代の記憶が甦ってくる。美術の先生宅を同級生と一緒に訪問したこと、国語の先生から俳句の表現について批評して頂いたこと、その国語の先生が御結婚かなにかの理由で退職され後任の先生が極めてユニークで一生忘れない出来事があった。1970年中学三年生の時、三島由紀夫の市ヶ谷での切腹事件の報道がテレビで流れその時の総理大臣が「馬鹿なことをしてくれた」と言ったことに触れ、国語の先生が「ノーベル文学賞候補の作家がしたことを馬鹿なこととは言ってはならない」と。その真剣な表情から、先生の言われる三島由紀夫とはどういう人物なのか興味が湧き本屋さんに行き三島作品を数冊買って読んだりした。偶然本屋さんでもその国語の先生にお会いした。本を探している姿は文学に取り憑かれたような印象を受けた。文学には興味が湧いてきたものの時代的には日本にはアメリカ文化がどんどん入ってきていてプラグマティズムという風潮に変わりつつあった。生きて行くにはどうしたら良いかまだまだ模索していたが文学という選択肢はなかった。
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