続・こがら通信

旧ブログ「こがら通信」から続く新ブログです。

お知らせ

2022年04月08日 | 日記

 ブログ「こがら通信」の続きとして始まった当ブログですが、新ブログ「西多賀通信」に引き継ぎます。

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 引き続きよろしくお願いいたします。

 

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高橋たか子女史

2022年04月01日 | 日記

 私はどうにも淋しくなったら、例えば、高橋たか子女史のエッセイ集を手にする。たまたま開いたページに、まるで私に読まれるのを待っていたかのように、そこに言葉がある。

 

 遠い昔を思い出そうとすると、私にとって浮かんでくるのは、常に風景である。しかも、おびただしい風景である。

 そういうものの一つとして、ひっそりとした石畳や土塀が見えてくる。広大な面積をもつ妙心寺には、四十七もの塔頭(たつちゆう)をつなぐ土塀がながながと続き、土塀と土塀との間に石畳道が曲折しながら続いていた。そういうところを歩いていると、坊さんか寺の住人らしい人のほか、ほとんど人に出会わない。しらしらと人気なくて、どこまでも歩いていきたい道であった。(「妙心寺」)

 

 遠い京都の、私では見つかるまいと思われる妙心寺の風景が、時空を越えて迫って来て、私は充たされる。

 京都に生まれ、幼時にお寺で遊び、人嫌いな感受性の鋭い人となり、大学生のとき高橋和巳に出会い結婚し、デカダンなその人に誠実な妻として何年か尽くしつつ鎌倉に棲み、あと京都に行く夫には付いて行かず、孤りに徹し、沢山の小説を書き、各所に発表したエッセイを集成した『記憶の冥さ』という珠玉の文集を遺して行かれた。

 私にとって高橋たか子女史は、なによりも読書の面白さ知らせてくれる人である。

 

 

 

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