この記事も初期の作品ですが、今でも多くのアクセスを頂く記事なので、あらためて内容を整理の上、再掲載したいと思います。
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馬のスピードと言っても、私は「瞬発力」と「持続力」の2種類に分けて考えています。
「瞬発力」は1ハロン(200m)を10秒台で激走するような瞬間的なハイスピードのことであり、スタート直後のダッシュ力だけでなく、最後の直線で追い込む切れ味にも繋がる能力です。アメリカの種牡馬ミスタープロスペクター系に代表されるスピード因子がこの「瞬発力」で、ロードカナロアはその申し子と言えます。
一方「持続力」は、1ハロン11秒台を3ハロンでも4ハロンでも継続できる走破力を指します。欧州の種牡馬サドラーズウェルズ系はその典型、もとを辿れば北米の名種牡馬ノーザンダンサーに代表される能力です。
ちなみに、日本の競馬に革命をもたらしたサンデーサイレンスはこの双方を兼ね備えた存在であり、その代表産駒のディープインパクトが近代競馬の至宝と呼ばれるのも、この2つの能力を高いレベルで引き継いでいるからです。
さらに興味深いのは、このサンデーサイレンス血脈にミスタープロスペクター系を掛け合わせると、より瞬発力に長けた馬が出てきますし、ノーザンダンサー系を掛け合わせると、長く脚が使える中長距離得意の馬が出てきます。
そして前回お話ししたもう一つの重要な要素、「気性」を合わせてみると、その馬の適性距離が自然と見えてくるものなのです。
【補足】ちなみに、「瞬発力」の範疇で、仕掛けた時の「反応の良さ」という概念があります。スタートダッシュの速い馬だけでなく、ディープインパクト、アーモンドアイ、コントレイルといったスーパーホースに見られるスピード能力なのですが、騎手の指示からトップスピードに至るまでの時間が短い馬が「反応が良い」ということであり、基本的には、瞬発力のある馬=反応の良い馬、と言って良いと思います。
ただし、時々例外があって、瞬発力は凄いのだけれど、騎手の指示に瞬時に反応しない馬がいます。いわゆるズブい馬で、晩年のゴールドシップのように、人間を見下している馬。「ふん、走るもんかい!」と横を向く感じ。こういう馬、嫌いじゃないんですけどね。